酒田メンネルコールのサロンコンサート
昨日、男声合唱団、酒田メンネルコールのサロンコンサートがありました。予報通りの雪が断続的に降るあいにくの天気でしたが、80人ほどのお客さんがきてくれました。 やなせたかしの詩に木下牧子が曲をつけた合唱組曲『愛する歌』、アカペラの愛唱曲、ピアノ伴奏付きの、たとえばテレビ時代劇の必殺シリーズのメドレーや、木枯し紋次郎のテーマなど23曲を披露しました。 高齢のメンバーばかりで、さすがに立ちっぱなしのステージはきつかったようで、腰痛で立てなくなる人がいるほど。実はぼくも今日は腰が痛んでいます。 でも、やりきったという気持ちは強く、打ち上げは盛り上がりました。 メンバーには去年入団した80歳を越えた新人がいます。彼はこの夏、脳梗塞で入院したですが、半月ほど前に練習に戻ってきました。打ち上げでマイクがまわると、リハビリの目標に「車の運転と、合唱団で歌うこと」を挙げ、その目標に沿ったプログラムを組んでもらったのだと話してくれました。無口で冷静な感じの人なのですが、ちょっと感動してしまいました。
ところで披露した歌の中に、堀口大学詩、清水脩作曲の合唱組曲『月光とピエロ』の中の『秋のピエロ』がありました。以前、全曲を歌ったとき、プログラムに解説を書くために調べたら、ネットにこんな情報がありました。 この『月光とピエロ』は世界初の合唱組曲であること。そして、堀口大学は、若いときにヨーロッパに遊学し、そのときマリー・ローランサンとも親交を深めたこと。大学は年上のマリーに一方的な恋心を描き、その思いを表現したのが『月光とピエロ』である。つまりピエロは堀口自身であり、片思いの相手のコロンビーヌとはマリーのことなのだと。 これを書いたのは、自分も男声合唱をやっている人のようでした。 マイクがまわったときこの話をしようと思って、念のために検索したら、これとは異なる意見を見つけました。生命工学者の入口紀男氏の論文で、ピエロは堀口自身ではなく、詩人のギヨーム・アポリネールだというものです。マリーとアポリネールは将来を誓い合った恋人同士だったのですが、ルーブル美術館から「モナリザ」が盗まれる事件が起きた時、アポリネールが関わっているという噂が流れた。それで、マリーの母親が結婚に強く反対して、2人は別れざるを得なくなったというのです。実はふたりとも私生児であり、当時はひどく差別されたことが背景にあったこと。マリーの母親はそれを負い目に感じていて、マリーにこれ以上辛い思いをさせたくないというのが反対の理由だったと。 堀口はマリーを通じてアポリネールの詩と出会い、強い影響をうけたのだというのが、入口氏の主張でした。 アポリネールの詩を歌にした『ミラボー橋』というシャンソンがあります。 〽ミラボー橋の下を、セーヌは流れる…… というのだったかな?
清水脩の『月光とピエロ』発表は1949年。すると「ピエロとは誰か?」という考察は70年近く続いているのかもしれません。この歌が歌われ続ける限り、この論争も続くのかも。
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