売れ残りの犬は……
東北の小都市、酒田にもペットブームがやってきたようです。最近、ショッピングモールの一角に大規模なペットショップができたと思ったら、ホームセンターのペットコーナーも拡充され、犬や猫の陳列棚ができていました。森の散歩道でも、巨大なスタンダードプードルやら、オーストラリアン・ケルピーとかいう高価そうで珍しい犬を見かけることも増えました。今は少数派の、服を着せられた犬も、これからは珍しくなくなるのかもしれません。犬を着飾らせるより、落し物を持ち帰ってくれと言いたいところですが。 先日、犬の餌を買いにホームセンターに行ったら、ケージに横たわる1匹の犬が目につきました。トイプードルやチワワなどの小さくてコロコロした子犬の中で、その犬特有の体型がわかるまでの大きさに育っていたのです。たぶん、人気の犬種ではないか、高価すぎるためかわかりませんが、売れ残ってしまっているのでしょう。茶色の地に黄色い縞模様、いわゆる虎斑模様が特徴の「甲斐犬」です。人気の柴犬とは違ってほっそりした体型は、絶滅したはずのニホンオオカミもこのようであったのかと想像させるものでした。実際、甲斐犬はオオカミに近い、いやオオカミそのものだという人もいるらしいのですが。 中学校の同期会のために、子どものころ住んでいた中野坂上に行ったとき、警察署の近くに甲斐犬専門の店があったので驚きました。よほどの犬好きでなければ甲斐犬を知る人は少ないと思うのですが、専門店があるほど熱烈な愛好者もいるのでしょう。 昔、父がポツリと「甲斐犬が飼いたい」とつぶやいたことを思い出しました。甲斐犬を知っていたのはそのためです。 我が家の近所では今は柴犬ブームです。いつのまにか柴犬も人なつこくなり、飼い主意外の人に激しく吠えかかるということはあまりなくなったようですね。ある若い柴犬は、車が好きらしく、散歩する森まで乗る車で通りかかると、足を止めてうっとりした目をして見つめるのです。自動車好きの人間の男の子みたいです。 ハッチくんのガールフレンドも黒柴で、彼女はハッチを見つけると物陰に隠れたふりをして飛びだし、「どう、驚いた?」なんてハッチを挑発します。 では、現代の甲斐犬はどんな性格なのでしょうか。いまでもオオカミっぽい性格なのかな。でもオオカミっぽい性格って、どんな性格?
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