一時保育室レポート 子どものあそびと生活寸描 その⑨ 入室したとき泣く子ども
泣いている子どもが泣き止むこと(子どもはセンサーを持っている)のお話。 子どもは「この大人は自分と遊んでくれる大人かそうでないか…」といった判断を直感的にするようです。 ですからこちらは「私はあなたの敵ではありません。安心してください」という気配と心持でその場に居合わせるように心がけています。 できるものならその場にいるだけで子供の側が勝手に安心してくれるような空気のような存在になりたいと思っています。 最初っからほとんど泣かない子どもよりは泣く子どものほうがどちらかといえば多いです。 リピーターの子どもでもひと泣きして泣き止むケースは多いです。 その時の泣きたい気持ちを受け入れてひと泣き清々と泣いてもらえることも大切にしています。 「このおとなはわたしのきもちをわかってくれるおとなだ」と子どもから認めてもらえること、要はその子どもとの『信頼関係』が作れるかこそがポイントです。 『自分のことを解って欲しいという欲求』は老若男女万人の持っている根源的な欲求の一つです。 泣きたいときには泣ける自由を奪わないようにしています。 「そうなの、なきたいの、(あなたの気持ちは)解ったよ」と泣きたい気持ちを心の中でハグします。 泣きながらも彼らのセンサーは働いていてやがて落ち着きます。そのタイミングが来るのを念じながら待ちます。タイミングを促すものとして「遊び」を披露して興味を誘います。
一方長泣きをしてなかなか泣き止めない子もいます。 なるべく長泣きされないよう泣いているままに放置せず泣き止むきっかけの到来に努めます。 長泣きしないで気分転換できるよう断続的にあそびに誘ってみて、その時々の反応を見ます。 今度は大人の側がセンサーを働かせる番なのです。 子どもと大人一対一で関わりの新たな展開を試みる場合もありますし、一方集団保育の場という条件を活用してその子の周辺に嬉々として遊ぶ他の子の様子に関心が向かないかと条件を整えてみます。これは例えば、桶の中に水を張って、その水をぐるぐるかき混ぜると、桶の中のメダカたちはいっせいに流れに逆らってせっせと泳ぐ本能(原理)の応用です。
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