北から目線?
首都圏に大雪が降ると、雪国の人が「老婆心」を発揮して、投書やSNSで様々な助言をしてくれる。これを「北から目線」と言うのだとか。親切心の裏には、「あれっぽっちの雪で大騒ぎして」という優越感と、日頃の首都圏への劣等感が交じり合った感情もこもっているのかもしれません。 でも、あれっぽっちの雪で事故や怪我が多発するのは、雪の性質が違うことにも原因がありそうです。気温の低い地方では、雪はさらさらしていてあまり滑らないのです。圧雪された舗装道路も弾力があって、腰を落として歩けばさほど危険ではない。危険なのは、春が近づいて昼間の気温が上がり、圧雪の表面が濡れてしまった時です。これが夜中に凍結すると、とても危険です。雪がなくなった舗装道路でも濡れていると、いわゆるブラックアイスバーンになります。こんなときは、路肩に残った雪をわざわざ踏んで歩いたほうが安全です。 気温が高めなところに降る首都圏の雪は水っぽく、始めから滑りやすいのです。それに歩道橋、ビルの日陰、駅前や広場、ビルのタイル張り舗装も、靴底に雪がついていると滑ってしまいます。
毎年必ず雪が降るわけではない首都圏では、冬タイヤに替えないで走っている車が相当あって、これも問題を起こしていますね。雪の備えといえば、雪かき道具も誰もが持っているわけではない。勤務していた学校では、教室のちりとりなどを使ったものです。住んでいた団地でも、園芸の移植ゴテはあっても、スコップすら持っている人はいませんでした。 関東は冬晴れで朝になると氷点下に冷え込んだりします。そのため日陰などの雪がなかなか解けないということもあります。中にはその雪を車道に撒き散らす人がいます。太陽と車の助けを借りて、強制的に溶かしてしまおうという魂胆でしょう。でも、これが解けないまま残っていたり、ブラックアイスバーンになっていたりすると、とても危険です。4輪の車ならまだいいのですが、バイクでは命に関わるので、これはぜひやめてほしいものですね。酒田にだって、車道に雪を撒き散らす人はたくさんいるのですが、投書などで呼びかける勇気が出ないのです。実名が出れば、近所の人と関係が悪くなりそうなので。
こちら庄内地方(山形県)の人だって、突っ込みどころ満載です。暗い雪道や、ホワイトアウトの状態でも車のライトをつけない人が多いとか、大量の雪を屋根に載せたまま走る車があるとか。信号で止まったりすると、この雪は雪崩を起こしてフロントガラスの視界をふさいでしまうのですが。慣れていないと自覚しているよそ者の私たちのほうが慎重です。これは「よそから目線」とでも言いましょうか。 連れ合いが先日「雪道でブレーキを踏んだら、ガリガリっていう音がして怖かった」と言いました。あれはABS(アンチブレーキングシステムだっけ?)が働いている音なのですが、初めて体験したというのです。ぼくは、凍結した交差点で踏んでも踏んでも止まらずに恐ろしい思いをしたことがあります。車のメーカーは「踏み続ければ必ず止まる」と言うのですが、それでは間に合いません。かなり手前から教習所で習った「ポンピングブレーキ」を使いながら徐々に止めるのが有効なようです。 おっと、結局北から目線な文章になってしまったようですが。
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