全国で異常な暖かさに包まれたという3月15日、庄内地方も暖かい一日になりました。スプリングエフェメラルなどと洒落た呼び方もされるようになった早春の花や生き物は週単位で移り変わる季節、今のうちに様子をみておこうと、鶴岡市の大山上池に出かけてみました。
旧庄内藩城下と酒田湊を結ぶ「大山街道」が大山川を渡る箸の上に、一羽の白鳥がいました。迷子でしょうか、どうしていいかわからないというふうに途方に暮れたようすです。でも、野鳥に近づいたり触れたりしてはいけないと言われているので、そのまま通り抜けましたが。
上池に着きトイレタイム。駐車場から水面を眺めていると、一羽の猛禽類らしい鳥が飛んできたと思ったら、水面に足をおろし、大きな魚を掴んで飛び去りました。魚を捕るミサゴのようです。距離が遠すぎ、写真はボケていて失敗でした。
上池と下池は、灌漑と農業用水のために谷の出口をせき止めた用水池ですが、その裏山一帯が散策路になっています。早くもイチリンソウの仲間、つまりアネモネ属のキクザキイチゲが咲き始めていました。
これも春限定のキノコ、シロキツネノサカズキ、あるいはシロキツネノサカズキモドキです。日の当たる林床で見つかります。
ジャノヒゲの青い実。以前「リュウノヒゲとの見分け方がわからない」と山のガイドに聞いたら、「同じものです」ということでした。
ウサギの顔のように見えるオオカメノキの冬芽が、少し開いて指人形のようになっているものがありました。
これはウサギ
これが指人形
ツルアリドオシの実です。林床を這う植物で、実は直系5ミリくらい。2つの花が対になって咲き、実を一つつけます。一つの子房に花が2つついているのです。そのため実には花がついていた跡が2つあります。
山形県ではユキワリソウと呼ばれるミスミソウも咲き始めていました。花の色や形に変化が多く珍しいものは高値がつくとかで、ここでも盗掘が問題になっています。
高いところはブナの林で、まだ雪が残っていました。まもなくイワウチワが咲き乱れる場所なのですが、雪が解けたばかりのところに、春一番で咲くキクバオウレンが咲いていました。
帰り道、池の近くにもどると、足元から小さなカエルが跳びだしました。でもアマガエルじゃないし、トノサマ、いやトウキョウダルマでもない……でもどこか見覚えがあります。そうそう、あいつだ、ウシガエル。あの巨大な特定外来生物のショクヨウガエルです。ラムサール条約登録のこの池では駆除の対象なのですが、カエルが好きなぼくにはとても駆除なんかできませんでした。