迷犬ハッチくんの老化に伴って、散歩コースが次第に短くなっています。当然私たちの運動量が減るのが悩みの種なのですが。
以前の散歩コースで、フキノトウ(庄内ではバンケと呼びます。内陸ではバッケ?)が出てくる場所があるので、そちらに回ってみようと思い、いつもとは違う市立テニスコートの駐車場に車を停めたのです。すると、すぐ近くでホオジロがさえずっています。
ちなみに、ホオジロは都会でもちょっと郊外の方ならわりあい普通に見られる鳥です。開けた場所を縄張りにするので、畑地の木立や、林の周辺、学校の植え込みなどの梢で、空を見上げてさえずります。「一筆啓上つかまつりそろ」とか「源平ツツジ白ツツジ」などと聞きなされますが、子供のころ読んだ関東の昔話の本では、鳥刺しのもちざおで片足の毛がなくなってしまったので「片足、毛無くぞんじそろ」と嘆いているのだとか、「いやいや、かたじかなくぞんじそろ」」と礼を言っているのだとか書いいてありました。
職場が学校だったので、グランドの防球ネットのてっぺんでさえずるホオジロの姿をよく見ました。あまり人に気づかれないのは、当たり前すぎて空気のような存在なのでしょう。
褐色のすずめサイズというのも、目立たない条件ですね。でも、よく見ると、赤茶色い色で、飛んでいる時は一番外側の尾羽が白いのが目につきます。逆に名前の由来の「ホオジロ=頬が白い」は、実際にはわかりにくいものです。地鳴きは「チチチ」と必ず3つで、「チ」「チ」と1つなのは近縁のアオジという鳥です。
というわけでさえずりの主を探すと、テニスコートを囲むフェンスで縄張り宣言をしているホオジロが見つかりました。カメラを向けても逃げないので、少しづつ近づいて撮影。
顔の白い部分は、戦士が闘いに臨んで描いたペインティングのように見えます。かわいいさえずりは、実は闘いの雄叫びなのかも。
おや、ファインダーから消えたぞと思ったら、次の瞬間、車のサイドミラーに向かって突進。自分の姿を敵だと思い込んでとび蹴りを食らわしていました。やはり戦士なのです。
そうそう、こんなふうに車のミラーに喧嘩を売る鳥は、ぼくの経験ではホオジロだけです。