散歩に行こうとしたら、近所の電柱にトビがとまってピイピイ鳴いています。どうやら巣立ちビナのようです。
このヒナはかわいい顔に撮れていますが、身近な猛禽類では、トビがいちばん精悍な顔をしていますね。やることはハゲタカと同じ、どこか卑しい気がするのは、人間の偏見でしょうか。
横浜に住んでいたころ、「葉山シーサイドコース」をよく歩いたものです。海岸を磯伝いに歩くハイキングコースで、満潮時のコース、干潮の時だけ歩けるコースなどがあります。イソヒヨドリという背中が青く胸がオレンジ色の鳥のきれいなさえずりを聞きながら、時にはアシタバやツルナを採集しながら歩けます。ところが、ここで弁当を食べていると、突然手に持ったおにぎりやサンドイッチが消えてしまうことがあるのです。トビが背後から襲い、手に持った食べ物を奪い去るのです。上手にできないときは、手に爪が当たるのか衝撃や傷みを伴うこともあります。
鎌倉などでも、トビに気をつけるように繰り返し呼びかけています。
トビにかんざしを盗られたとか、「トンビに油揚げ」などと言われていますからトビの習性なのでしょうが、湘南のトビはとりわけ大胆な気がします。
ぼくは、ある有名人が関わっていると睨んでいます。それは作曲家の團伊玖磨です。彼は生前、三浦の芦名(あしな)に住んでいました。シーサイドコースの近くです。テレビの「お宅訪問」のような番組で、團伊玖磨が屋上に立ち、トビに餌付けをしているところを紹介していたことがあります。三陸の遊覧船のカモメのようにトビは群がって團氏の手からパンを持っていきました。
餌付けられたサルが人を怖れずに食べ物を奪うように、トビもまた人を怖れなくなったのではないでしょうか。
森のリスを餌付ければいい写真が撮れるのに、と思うこともあるのですが、鎌倉のタイワンリスやアメリカのリスのずうずうしさを聞くと、野生動物を餌付けることは、どんな善意からでもやめるべきだと思います。
庭の紫陽花にきれいなカメムシがいました。ヒメホシカメムシのようです。