今日7月31日のNHKラジオ「子ども科学電話相談」はおもしろかった。回答者の先生がユニークな人ばかりだったから期待したら、まさに期待通りだった。
回答者は昆虫の久留飛克明氏、動物(哺乳類)の小菅正夫氏、鳥類の川上和人氏、恐竜の小林快次氏。
去年、小林氏は、恐竜は絶滅したわけではなく、現在の鳥類が恐竜なのだと言い、川上氏は恐竜が進化したものが鳥類なのだと、主張が微妙に違っていて、子どもの前でもちょっとした論争をしたことがあって、仲の良いライバルみたいな感じがおもしろかった。
今朝はこんな質問があった。「昆虫に心はあるのですか?」
久留飛氏は自分だけでなく、他の回答者にも振って「心ってなんだろう」とみんなで真剣に答えていた。
恐竜について考えることが鳥について考えることでもあるということが、ひいては動物全体、生物全体、最後に人間の問題ということにつながっていくのだということを、このユニークなセッションが教えてくれるような気がした。今日質問した子は特別にラッキーだったね。
「違う種類の動物同士で通じ合えるのですか?」という質問もあった。今朝の新聞(地方版なので、首都圏では昨日の夕刊の可能性もあるが。)に、ロボット犬の新型アイボと本物の犬が仲良くなれるのかという実験について書いてあった。結果は仲良くなれたという例が多かったということだった。
ぼくの弟は愛犬を老衰で亡くしペットロス状態らしいのだが、アイボを予約したそうだ。人間の心を掴んでしまうロボットなら、犬の心をも捉えるにちがいない。
横浜の野毛山動物園が入場無料だったころ、毎日ヒグマに会いに来るおじさんがいた。ドヤ街の寿町から通ってくる日雇いのおじさんらしいのだが、ヒグマはついにおじさんの前で芸を見せるまでになった。檻を隔ててはいたが、まるで心が通じあっているのではないかと思うほど、この一人と一頭は親密に見えたものだ。
2011年になくなってしまった酒田の乗馬クラブでの話。ある時、栃木の乗馬クラブから買い入れた2頭の馬におまけとして子犬がついてきた。ボーダーコリーでクラブのオーナーがクッキーと名づけた。牧羊犬のクッキーは馬を見ると吠え、放しておくと馬や車を追いかけようとした。
1歳を過ぎてもこのくせは続き、騎乗者がいる間はリードを放せなかった。開場前の時間など、馬場に馬が放されているときにクッキーを放すと、真っ先に馬に向かって突進し激しく吠え立てる。馬は尻を向けて時には本気で蹴ったりするので、時々クッキーは額に傷を負ったりしたものだ。
ある時、激しく追われた馬の一頭が、尻をむけるのでなくくるりと振り返った。するとクッキーは今度は自分が逃げ出したのだ。クッキーにとって馬を追うのは遊びであり、相手が振り向いたのは遊びに応じてくれたと思ったのだろう。そしてそれは馬の方にも伝わったようだ。逃げる犬を追って馬が追いかける。そして馬場の端まで行くと今度は馬が逃げる。もうもうと立つ砂埃。なんとスペクタクルな遊びだろう。
そのうち他の何頭かも、クッキーの遊びに付き合うようになったのは驚きだった。「やれやれ、しょうがねえなあ。付き合ってやるか。」みたいな感じで。
犬は遊ぶ。それは常識であり驚くことではない。しかし犬の遊びに馬が付き合う。馬にも遊び心があるというのは、長く馬と付き合ってきたのに、感動的な発見だった。
もしぼくが今日の回答者だったら、こう言おう。
「種類が違う動物でも一緒に遊ぶことができたら、それが通じあったということだよ」と。
ところで、馬場で馬と遊んだあと、クッキーを呼び寄せてリードをつけることは大仕事だった。クッキーはまだ遊びを続けるつもりで呼べば逃げる。離れれば挑発的に近づいてくる。まるでこちらがヒツジ扱いされているような気がしたものだ。