目の前をヒラヒラと飛ぶものがあり、蝶かと思ってカメラを構えました。しかし飛び方が蝶らしくなく、どうやら蛾のようでした。でもがっかりするのは禁物です。蛾にだっておもしろいやつがいるのですから。
その蛾だか蝶だかを目で追っていると、前方の草むらに舞い降りました。近寄ってみるとやはり、期待通りのことはありました。
どうです? ハグルマトモエという蛾ですが、2つの大きな目玉、いわゆる眼状紋があります。
以前にも出会ったことがあるのですが、名前を思い出せず図鑑で調べたのに、なかなか見つかりませんでした。原因は、図鑑では蝶の標本と同じように、広げた前翅を頭の位置よりも上に来るように引き上げてあるからです。標本を作るときは実際にそんなふうに展翅するのですが、現実にはあり得ないことで、蛾に骨があれば脱臼してしまうでしょう。それでみつからなかったのです。図鑑の図は、自然の姿とはまったく印象が違っています。
自然の姿では、前翅が水平というより、なで肩になっています。すると全体が横長の顔のように見えませんか? そして間がやや離れ気味の目がこちらを見つめて微笑を浮かべている。でも見返しているとちょっと気味が悪くなってきます。微笑んでいる目が虚無的なのは、その目がが巴(ともえ)の形をしているからかもしれません。その巴形が名前の由来でしょう。「ハグルマ」は、波型の模様からきているのかも。
以前別のところでも書いたのですが、森に来てポケモンを探すより、この蛾のような本物のモンスターを見つけるほうがずっと楽しいのではないでしょうか?もちろん、モンスターは一つだけではないし、発見するにはスマホはいらないけれど、ちょっとしたコツと想像力、それに少しは体力も必要ですが。
P.S.ネットで確認したところ、ハグルマトモエとそっくりのオスグロトモエと いうのもいるそうで、その区別はとてもむずかしいのだそうです。すると、こ れはどちらなのかな?