先週の日曜日 2018年 9月23日に横山幸雄のピアノリサイタル ベートーベン・プラスVol.5 が、オペラシティーで開催されました。
毎年秋にベートーベンの曲をメインにし更にそれ以降の作曲家の作品も演奏する意欲的なシリーズです。
プログラムは
ベートーベン:6つの変奏曲 Op.34
ベートーベン:エロイカ変奏曲 Op.35
ベートーベン:ソナタ第21番 ワルトシュタイン
ベートーベン:ソナタ第22番 Op.54
ベートーベン:ソナタ第23番 熱情
ブラームス :パガニーニ変奏曲
ショパン :ソナタ第 3番 Op.56
ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲
ラヴェル :夜のガスパール
と言う、普通のピアニストでは有り得ない重厚長大な曲目で、
時間は11時から16時30迄、4回の休憩を挟んで5時間半に及ぶ長い演奏会です。
まあ、毎年5月のショパン演奏会はもっと長時間ですし、2011年には実に16時間と言う超長時間の演奏会も有った事と比べれば、この人にとっては短時間なのかも知れません。
今回は私も初めて通して全部聴き、プロのピアニストの演奏会としては今までで最長です。それでも私にとってはどれも好きな曲ばかりでしたので、終わってみればアッと言う間でした。
長時間演奏もさることながら、超難曲の夜のガスパールを始め難曲4曲・大曲3曲を含め、計9曲もの演奏会は他のピアニストには到底不可能と思われます。普通は難曲か大曲を1~2曲で、後は細かい曲を数曲弾いて一夜を終わる感じですから。
横山幸雄と言えば、ギネスのショパン全曲212曲連続演奏に代表される様にショパン弾きのように思われていますが、私は以前からショパンよりもむしろドビュッシーやラヴェルやリストにこそ向いている人ではないかと感じていました。
そのような人のベートーベンって、何か違和感も有ったのですが、今回初めて聴いてみて変奏曲の冒頭から「これはいけるぞ」と思ったものです。特に6つの変奏曲はベートーベンの清澄さと軽やかさが端正に表現されていてその後の演奏にも期待が膨らみました。
個々に書くとキリがないですが、重厚な部分は重厚に綺麗な部分は華麗に、ベートーベンらしさを残しつつ特に高音部の綺麗さが際立っていました。ベートーベンに重きを置いたせいか好みの程度に依るのか分りませんが、私が特に好きな変奏曲であるブラームスの変奏曲は、取り敢えず弾いておこうかと言うような印象を受けました。
ドビュッシーは横山幸雄自身がピアノ用に編曲したもので、自らの得手を生かしたとても綺麗な編曲演奏に聞き惚れるようでした。
兎に角、全般的に高音部の綺麗さは群を抜いていて、何の懸念もなく快適な音のシャワーを浴びているような気持ちの良い演奏会だったと思います。
最もポピュラーで有り、本人も一番力が入っていたベートーベンの熱情ソナタをデジカメ録画MP4のMP3変換版でUPします。
今回も録音音質がかなり悪いので聞くに堪えないかも知れませんが。
熱情 第1楽章
https://yahoo.jp/box/YtWEKl熱情 第2・3楽章
https://yahoo.jp/box/cQBy08熱情は往年の巨匠達の過去多数の演奏が有りますが、この曲の重苦しさや緊張感の様な雰囲気はさて置き、明快でどこまでも鮮やかな表現は正に新しい時代を感じさせます。
最近私はユジャ・ワンやぴあの好きの会の面々に影響されてか、訳の分らないややこし曲を聴いてる事が多いのですが、久々でオーソドックスな曲を聴くと、やはりベートーベンはいいなあと改めて感じます。
ところで、一般に会場に入る際、多数の他の演奏会のパンフレットをくれるものですが、それが今回は本をくれたのかと思うくらい特に多くて、ピアノ演奏会だけでもこんなに有るのかとビックリしました。
これでも全部では有りませんが、写真を貼り付けますので気になる演奏会が有れば是非聴いてみて下さい。
横山幸雄で言えば、ロシア4大ピアノ協奏曲を一度に演奏するとてつもない企画が有ります。
2018年11月25日(日)13時~
場所:オーチャードホール
曲目:チャイコフスキー 1番
ラフマニノフ 2番
プロコフィエフ 3番
ラフマニノフ 3番
の4曲で、これも普通のピアニストででは到底不可能な演奏会ですし滅多にない機会なので、オーケストラもお好きな方は是非足をお運び下さい