昨日の夕方もホオジロの親子を見かけた。というか、親子の姿を確認した。「万里の松原」と呼ばれる森の入口の駐車場わきの草むらで声がしていた。ヒナがかすれた声で「チチチ」と鳴き、親が「チチチ」と鳴きかえす。微笑ましい様子を想像する。先日紹介した写真をもう一度掲載すると
ホオジロの幼鳥
自分で獲ったよ!
ホオジロの親
しかしいくつか疑問が湧いてくる。10月になるというのに、まだ独り立ちしないヒナがいるものだろうか。それになぜ、一羽だけなのだろうか。
野鳥の繁殖は初夏のころだが、条件がよければツバメのように2回目の子育てもあるという。これはそんな遅く生まれたヒナなのか。
ヒナはカラスや猛禽類に襲われて餌食になりやすい。これはその生き残りなのか。それとも、成長の速い他の兄弟はすでに独り立ちしたのか。
もしかすると、このヒナはなにか障害があり、成長が遅れているのかもしれない。画像を引き伸ばしたら、あまりに無邪気な顔をしていて、とても気になった。
今朝未明、台風24号が東北東海岸を通過した。日本海に面した酒田では大した被害もなく、今朝も犬のお供で、日課の散歩にでかけた。森にはまた枯れ枝や松の梢などが散乱していた。離れていても台風はけっこう暴れたらしい。
森の入口の駐車場で、犬に水を飲ませたり、ウェットティッシュで体を拭いてやったりしていると、車の横にあるものに気がついた。
それは、雨に濡れそぼった小鳥の死骸だった。
もしやと思って確認する。尾羽根には白い縁取りが見える。背中は赤褐色。ホオジロの特徴である。顔は?ホオジロ特有の白斑は見えず、ぼやけた感じだ。ホオジロだが、まだヒナなのだ。きっとあの子にちがいない。写真に写っていたあの無邪気な顔を思い返す。
以前ラジオで野鳥にくわしい人が、野鳥のヒナが翌年の春を迎えることはほとんどなく、大人の鳥ということがほとんど奇跡なのだと話していた。
そういえば去年、愛車のサイドミラーに喧嘩をふっかけているホオジロがいたっけ。あれもこの駐車場だ。あれがこの子の父親なのだろう。そう思うと、ひとしきり親しみを感じて、また悲しくなってしまった。