田原総一朗氏宛メッセージをお届けいたします。
日本に壊滅的影響をもたらす過酷事故の再発の可能性への道を開く再稼働の危険性に言及いたしました。
「不道徳の全方位の破壊力」については傑出した専門家から下記のコメントが寄せられました。
「メールをありがとうございました。
拝読して、私が博士論文で取り組みました19世紀末から20世紀初頭の英国神学を思い出しました。
それは
https://en.wikipedia.org/wiki/Moral_realismこのように説明される、Moral Realismという立場でした。
それはまさに、「不道徳の全方位の破壊力」ということを真剣に議論していたものでした。
このrealityを忘れてしまっていることこそ、本当の問題だと思います。
おそらく原発問題は、その本当の問題を露呈させているのだと思うのです。
この150年の間、日本は、海外からの指摘をもって、自らを律してきたように思います。
その限界を思うと、海外からの指弾を待ちつつ、粘り強く、道徳性の復権を語り続けることが、私たちの取るべき進路だと、そう思わされました。」
核爆発を伴う過酷事故の再発を防ぐためには日本の原子力政策のあり方そのものを見直す必要があるとの認識が国際的に深まる可能性が注目されます。
村田光平
(元駐スイス大使)
不道徳の全方位の破壊力 引用元:田原総一朗氏宛メッセージ
田原総一朗先生 平成30年10月17日 村田光平 (元駐スイス大使)
拝啓 益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。 去る5日、全日空ホテルでお会いした村田です。 日本の現状を憂えるものとして危機感を共有させていただきます。
現在の「無責任国家」日本は原発の安全を総理も原子力規制委員会も責任を負うことを否定しております。そのような規制委員会に再稼働を許可する権限を与えることは、ご賢察の通り本来あってはならないことです。日本に壊滅的影響をもたらす過酷事故の再発の可能性への道を開くのが再稼働だからです。
緊急事態宣言が解除されていない日本の放射能への対応はついに最近は国際的にも問題にされだしております。 AP電が報じた「福島第一 タンク水75万トン 放射性物質を再浄化へ」など東電がこの期に及び公表した驚くべき諸事実はとりわけ海外に衝撃を与えております。「2020放射能東京五輪」キャンペーンを推進中の「核戦争防止国際医師会議」(IPPNW)の有力関係者は汚染水の海洋放出の可能性につき“absolutely horrible development and an enormous future threat”としてこれを断固阻止する姿勢を打ち出しております。
核爆発を伴う過酷事故の再発を防ぐためには日本の原子力政策のあり方そのものを見直す必要があるとの認識が国際的に深まる気配を感じております。現に国連人権委員会理事会による福島第一の作業員の被ばく問題の釈明要請が行われましたが、今後このような動きは活発化するものと思われます。
「原子力の全方位の破壊力」は「不道徳の全方位の破壊力」と言い換えることができます。天地の摂理は不道徳の永続を許しません。
ご指導、ご支援をお願い申し上げます。 敬具 |