情報通の米人記者から寄せられた下記情報をお届けいたします。
東京オリンピックで浮かれ騒いでいるうちに、世界中の人々の健康が蝕まれていく事態を懸念すべきだろうと指摘しております。
国際社会による東京五輪批判の強まりが看取されます。
「原子力の全方位の破壊力」に対する理解は東芝の英国での原発建設からの撤退決定に見られるように深まりつつあります。
東海第2原発のさらなる20年の運転期間の延長許可は関係者の総合判断力の質を根底から問うものと言えます。
許可取り消しが求められるに至ることは必至と言えましょう。
村田光平
(元駐スイス大使)
世界から「放射能五輪」と呼ばれる日本のヤバさを知れ! 福島の汚染水の太平洋放出にも外国人ブチギレ… 被曝のウソも! 引用元:2018.11.09. Rakuten Infoseek News
7年前の東日本大震災以来、メルトダウンを起こした福島第一原発から排出される汚染水対策が深刻な問題となっているが、汚染水を海洋に排出する日本政府の計画に対して、世界各国のメディアから次々と厳しい批判の声が上がっている。
加えて先月には、国連人権理事会が「(福島県で避難指示が解除された地域であっても)子供や妊娠可能な女性の帰還は見合わせるべき」と日本政府に要請する声明を発表した。2年後に迫った東京オリンピックでは福島県の野球場でも競技が予定されているが、選手の健康に対する懸念も囁かれており、“放射能五輪”と揶揄する声さえ聞こえてくる有様だ。今回は、日本ではほとんど報じられることのない福島原発に寄せられる海外からの厳しい視線と、実情について見ていこう。
■海洋放出は本気でヤバい
あの日以来、東京電力は福島第一原発で発生した汚染水の浄化作業に取り組んでいるが、すでに原発構内のタンクに保管されている処理水は90万トン以上に達し、現在も日々増え続けている。これを何とかしなければ、近い将来に貯蔵タンクを設置するスペースが不足することは明らかだ。
そこで、国と東京電力は浄化処理を行った水を海洋に放出する計画を立てた。東電の主張は、浄化装置による汚染物質の除去作業で、トリチウム(三重水素)を除く放射性物質が、原子力規制委員会の定めた基準値未満になっているというものだった。しかし、その前提があっけなく崩れ去る。
今年の8月上旬時点でタンクに保管されていた89万トンの処理水(多核種除去設備「ALPS」で浄化済み)のうち、84%に当たる75万トンに、基準を超える放射性物質(トリチウム以外)が含まれていたことがわかったのだ。
このような事実を踏まえ、政府は8月下旬に福島県富岡町と郡山市、さらに東京都内で汚染水の処分方法について国民の声を聞く公聴会を開いたが、公募で選ばれた人々のほとんどは反対意見を述べた。汚染水にトリチウム以外にもストロンチウム90などの深刻な放射性物質が含まれていることが判明しており、それを海に流されては、風評被害がますます広がるとの不安はもっともだろう。問題解決はさらに遠のいたと言わざるを得ない。
■世界から批判と不安の声!
そして、日本ではほとんど報じられないが、このような危惧と批判が今や世界中に広がっている。英紙「テレグラフ」(10月16日付)は、独自文書を入手したとして、日本政府が福島第一原発から太平洋に放出する予定の水は法的に許可された水準をはるかに上回る放射性物質を含んでいると伝えた。
また同記事は、福島原発事故の対応に責任を持つ政府の担当者から得た情報として、ALPSが放射性核種を「非検出」レベルまで“排除していない”ことを政府が認識していたと暴露。さらに、2017年には84の汚染水サンプルのうち45のサンプルで、ヨウ素129とルテニウム106のレベルが許容値を超えていたとする「河北新報」の新聞記事を紹介している。ヨウ素129は半減期が1570万年と長く、甲状腺の癌を引き起こす可能性も疑われている。このような実態が判明しては、海洋放出への批判はさらに高まるばかりだろう。
■国連もガチ警告!
そして、日本の政府やマスコミが放射線汚染の真実について積極的に語らない現状に業を煮やしたのか、国連までもが日本政府に公然と反対意見を発するようになった。
10月25日、国連人権理事会は、日本政府が避難指示の解除要件の一つにしている「年間20ミリシーベルト以下」という被ばく線量について、「年間1ミリシーベルト以下」にすべきだと指摘した上で、子どもや出産年齢の女性は年間1ミリシーベルトを超える地域への帰還を止めるよう日本に迫った。同理事会のトゥンジャク特別報告者は、「我々は今後、福島で生まれ育つかもしれない子どもたちの健康について特に心配している」と述べており、日本政府以上に日本国民の健康について心配しているようではないか。
■東京五輪は「放射能オリンピック」
話はそれだけにとどまらない。今や世界では2年後に迫った東京オリンピックの開催を危ぶむ声まで上がり始めている。昨年12月29日、米ニューヨーク・タイムズ紙は、「あなたはフクシマで野球ができますか?」と題した記事を掲載。東京五輪の野球・ソフトボール会場の1つに予定されているあづま球場(福島県福島市)の一角に汚染土が積み上げられている様子を伝え、「(日本)政府は科学的な根拠のもと、正確な現状を伝えるべきだ」と非難している。
さらに10月11日のロイター通信は、2013年に安倍首相が五輪招致のプレゼンテーションで、福島の放射線状況について「アンダーコントロール(制御下にある)」と断言したにもかかわらず、汚染水に限度以上の高濃度の放射性物質が含まれている現実を報道。このような状況を踏まえ、海外のメディアやネットユーザーからは「Radioactive Olympics(放射能オリンピック)」と揶揄する言葉まで飛び出す有様だ。
■原発に関する現実を直視せよ!
なぜ今、これほど日本は世界からヒンシュクを買っているのか? それは、日本政府や東電の主張と現実が大きく乖離している点はもちろんのこと、「はじめに原発ありき」を貫こうとする日本政府の姿勢に対する批判でもあるのだろう。
2012年8月28日、当時の民主党政権の野田首相は衆院議員との会食の席上、将来的に原発依存度をゼロにすべきだとする意見に対し、「安全保障の問題が絡むので、簡単に原発ゼロとは言えない」と、ポロッと本音を言ってしまった。
認知科学者の苫米地英人氏は、著書『原発洗脳 アメリカに支配される日本の原子力』(日本文芸社)で、「なぜ、自民党は原発をやめることができないのでしょうか。それは、日本の原発がアメリカの核戦略の一環であることを自民党は熟知しているからです」と明言している。
こうした事情も絡み、政府はもちろん日本のメディアも原発の真実を伝えることができず、結果として日本国民が一番問題を把握していないという状態に陥っている。東京オリンピックで浮かれ騒いでいるうちに、世界中の人々の健康が蝕まれていく事態を懸念すべきだろう。 (百瀬直也) |