新編『ぐるりんりん』より④~わにの背中で~(第4稿)
新編『ぐるりんりん』より④~わにの背中で~(第4稿) 作・曵田原 宏
※年少組向けの8つの短いお話です。 どのお話から読み始めても次のお話につづきます。 だからこのお話は8つまるごとで『ぐるりんりん』という循環童話です。
1 おむすび (第3稿) 2 おむすび屋さん (第4稿) 3 くまの家族のおふろ (第4稿) 4 わにの背中で (第4稿) 5 わに泳ぎ (第3稿) 6 でんしゃごっこ (第2稿) 7 おおなわとび (第4稿) 8 青い帽子 (第2稿)
今回は4/8 第4話 わにの背中で (第4稿)
熊の家族が大笑いをしたので、 河原でひなたぼっこをしていたネボスケわにが目を覚ましました。 そして、大きなあくびをひとつしました。 「ふぁ~~~~あああ」 「あら、わにさん。おくばのところに何かはさまっていますよ」 「そうなんだ。これがとれなくてもう一週間も前から痛いんだ」 「どれどれ、わたしが取ってあげよう」 熊のお父さんが自慢の長い爪でさっさっさっととりました。 それはお魚の骨でした。 「くまさんありがとう。すっかり痛みがなくなった。」 「どういたしまして。 ・・・わにさんちょっとお願いがあるんですがなぁ、 あなたの背中を貸してくれますか?」 「どうかしましたか?」 「ちょっと背中がかゆくてねぇ、 あなたの背中のいぼいぼでこすらせてください」 「おやすいごようだ。さあどうぞ」 熊のお父さんはわにの背中にごろりと寝転がりました。 「おもたくないですか?」 「だいじょうぶ、だいじょうぶ」 「それでは、ちょいとうごきますよ」 熊のお父さんは背中をもぞもぞうごかしました。 「いやあ、きもちぃ~い。 きもちぃ~~い。 わにさんの背中のいぼいぼですっかり痒みがとれました。 ありがとう。」 熊のお父さんが起き上がると、 なんと、わにさんの背中はピカピカに光っていました。 なぜかというと熊さんの毛皮で背中のいぼいぼが すみからすみまですっかり磨きあげられていたからです。 わにさんは自分の背中をちらりと水鏡に映すと、 「うっひょっ ひょっ ひょっ ひょひょう~。まるで新品だね。 私の背中もなかなかステキなもんだ。 今日からこの背中をもっと大事にしよう」 わには背中を右にひねったり左にひねったりして 何度も水鏡を覗き込みました。 しばらくうっとり見とれていましたが、 うんうんとうなずくと言いました。 「やあ、こちらこそありがとう。 おれいに子どもたちに水の中を案内してあげよう。 さあ、私の背中にお乗りなさいな。」 「わーい、わーい うれしいな」 熊のお兄ちゃんとお姉ちゃんと、ぼうやの三匹は わにさんの背中に乗りました。 「さあ、私の背中のいぼいぼにしっかりつかまって 落っこちないようにね」 わにさんは水の浅い処から深いところまで あっちもこっちも連れてってくれました。 ゆっくり泳いだり、超スピードで泳いだり、 楽しく愉快に泳ぎまくってくれました。 やがて夕方になりカラスが「かあかあ」と鳴きました。 そこで、熊の家族はお家に帰ることにしました。 「ばいばいわにさん」 「さよならくまさん」 ~お・し・まい~
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