新編『ぐるりんりん』より⑥~でんしゃごっこ~(第2稿)
新編『ぐるりんりん』より⑥~でんしゃごっこ~(第2稿) 作・曵田原 宏
※年少組向けの8つの短いお話です。 どのお話から読み始めても次のお話につづきます。 だからこのお話は8つまるごとで『ぐるりんりん』という循環童話です。
1 おむすび (第3稿) 2 おむすび屋さん (第4稿) 3 くまの家族のおふろ (第4稿) 4 わにの背中で (第4稿) 5 わに泳ぎ (第3稿) 6 でんしゃごっこ (第2稿) 7 おおなわとび (第4稿) 8 青い帽子 (第2稿)
今回は6/8 第6話 でんしゃごっこ (第2稿)
わにのワニイから泳ぎ方を教えてもらった黒猫のミャーと 白ウサギのピョン。 川の中をどこからどこまでも『わに泳ぎ』ですーいすーいと 思いのままに泳ぎまくりました。 たっぷりと川遊びを愉しんだのですっかりお腹がすきました。 それぞれお家に帰ってお昼ご飯を食べることにしました。 「ワニイ、ありがとう。またいっしょにかわあそびしようね。ばぁい」 お家に帰る途中の道で 「あ、いいものみーつけた。すてきなものつくっちゃおう。」 「ピョンちゃん?なわとびロープの長いのみたいなひもだね。」 「ほら、こうしてはじっことはじっこをむすぶでしょ・・・。 そうするとぉ・・・」 「わかった。でんしゃだ」 「ピンポーン、そのとおり。 おうちまででんしゃごっこしてかえりましょう」 さっそく電車に乗り込むと二人は声をそろえて言いました。 「おうちにむかって、でんしゃ、しゅっぱーつ。 がたんがたぁ~~ん、がたんがたぁ~~ん」 「がたんがたぁ~~ん、がたんがたぁ~~ん」 ところが電車はちっとも前に向かって進みません。 「がたんがたぁ~~ん、がたんがたぁ~~ん がたんがたぁ~~ん、がたんがたぁ~~ん」 「ミャーくん。ちゃんとひっぱっている?」 「ひっぱってるさ。ピョンちゃんこそちゃんとひっぱっているかい?」 「ひっぱっているわよ。 がたんがたぁ~~ん、がたんがたぁ~~ん がたんがたぁ~~ん、がたんがたぁ~~ん ミャーくんもっとちからだしてよ。 う~~ん、う~~ん。」 ピョンちゃんが力を出すと ミャーくんの足がずるずるっと後ろに滑りました。 「れれれぇ。よおおーし。がんばるぞぉ。 がたんがたぁ~~ん、がたんがたぁ~~ん がたんがたぁ~~ん、がたんがたぁ~~ん。 むんむんむんむんむううん。」 ミャーくんがもっと力を出すと、 こんどはピョンちゃんの足の裏がずるずるっと後ろに滑りました。 「がたんがたぁ~ん、がたんがたぁ~~ん・・・う~~んう~~ん」 「がたんがたぁ~ん、がたんがたぁ~~ん・・・むんむんむ~~ん」 電車はちょっと前に進んだかと思うとずるずる。 またちょっと前に進んだかと思うとずるずる。 「ぜは、ぜはぁ、このでんしゃ・・・、なんかへんよ。」 「あへ、あへぇ、ちょっと…しらべてみよう。」 ミャーとピョンちゃんは自分の後ろをちらっと振り向きました。 その途端、ごっつ~~ん。 「あいたたたった」 二人ともおでこをさすりながら 「ごめんごめん」 「あれぇ、ピョンちゃんもしかうんてんしゅ?」 「そうよ、ミャーくんはなあに?」 「もちろんぼくはうんてんしゅ」 「あはははは。ふたりしてうんてんしゅだったから ちっともうごかなかったんだ」 「じゃんけんでうんてんしゅをきめよう。 とちゅうでこうたいしながらいこうよ」 「うん、そうしよう。」 「じゃん・けん・ぽん! あいこでしょ。あいこでしょ。」 ふたりの仲良し電車はお家に向かってしゅっぱーつ・進行。 今日のお昼ご飯は何でしょうね? ~お・し・まい~
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