安部総理宛メッセージをお届けいたします。
国際社会の東京五輪に対する批判の異常な高まりにつき注意を喚起させていただきました。
この程Washington Post 紙が報じたグレゴリ・ヤッコ元米NRC 委員長の「原発は禁止すべきだと思う」との発言は意義深く、原発問題が今後は倫理・道徳を問うことに焦点が移ることを予見させるものです。
波乱含みの東京五輪 引用元:安倍総理宛メッセージ
安倍晋三内閣総理大臣殿 平成31年5月21日 村田光平 (元駐スイス大使)
拝啓 5月18日のNHK Eテレ特集「誰が命を救うのかー医師たちの原発事故」は原発ゼロを実現する必要性及びフクシマ事故後も再稼働を容認することの罪深さを改めて痛感させるものです。 再稼働は国民から無責任・不道徳と断じられる所以です。
東京五輪も「原子力緊急事態宣言」のもとで立候補するという過ちを犯し、先週、鳩山友紀夫元総理がツイートで一部国際社会(特に、IPPNW―ドイツ支部)が「放射能東京五輪」と称するに至っていることを想起されたことが反響を呼んでおります。
------------------------------------------------------------------------------- 鳩山由紀夫 5月19日@hatoyamayukio 「既に東京五輪のチケットが売り出されたようであるが、例えばノーベル平和賞を受賞した核戦争防止国際医師会議は、放射能オリンピックと命名して放射能汚染リスクの残る東京でのオリンピック開催を疑問視している。日本では報道されないが、欧米でこのような動きが広まってきていることは理解すべきだ。」 2019年5月11日 -------------------------------------------------------------------------------
すでに国連の人権委員会は汚染度が事故以前の20倍の地域への住民の帰還を勧告する日本政府を批判する他、現場の数万人の福島作業員の被曝問題を取り上げた経緯があります。
更に、この程東京五輪の建設現場は「危険な状況」だと労組国際組織が指摘して改善を求めるに至りました。
5月17日付Washington Post記事はグレゴリ・ヤッコ元米NRC委員長の「原発は禁止すべきだと思う」との発言を伝えており、原発問題は今後は倫理・道徳を問う問題に集約されて行くものと思われます。
「under control」の再検証を含め東京五輪の安全性の確認を求める動きは強まるものと思われ、前途は波乱含みと考えられます。
貴総理の一層のご健闘とご自愛をお祈り申し上げます。 敬具 |
この度の発信に対して知人の大学名誉教授より次のようなコメントが寄せられました。
「五輪の危険極まる建設現場の状態をお知らせくださりありがとうございました。
これと並んで外国人労働者を福一の原子炉作業員として雇い入れ、極めて低賃金で働かせるなどこれでは国連の労働関係の委員会からも刺されるのは必須。
よくもこんな恥知らずのことができるかとあきれるばかりです。
不道徳・無責任体制がはびこり、これでは世界的糾弾を日本は世界からうけるにちがいないです。」
「天網」が見逃す筈がありません。事前の是正が求められます。
村田光平
東京五輪、建設現場は「危険な状況」労組国際組織が指摘 引用元:朝日新聞 2019.05.16.
2020年東京五輪・パラリンピックをめぐり、関連施設の建設現場の労働環境に様々な問題があるとして、労働組合の国際組織が大会組織委員会や東京都、日本スポーツ振興センター(JSC)に改善を求める報告書を送った。危険な現場や過重労働の実態などを指摘し、「惨事にならないようすぐに対策をとるべきだ」としている。
報告書をまとめたのは、国際建設林業労働組合連盟(BWI、本部・ジュネーブ)。約130カ国・地域の約335の労組が加盟し、ブラジル・リオデジャネイロや韓国・平昌など過去の五輪でも労働条件改善を訴えてきた。今回の報告書は日本時間14日夜に送られた。
BWIは16年から東京大会の労働環境について調査。今年2月には、新国立競技場や選手村の建設現場で働く労働者ら約40人から聞き取りをした。報告書では、月に26日や28日働いている例がある▽つり上げた資材の下で作業をしている▽通報窓口が機能していない▽外国人技能実習生もいるにもかかわらず一部は通報受付が日本語のみ、など問題点を指摘。「頭上をコンクリートがプラプラしている状態で怖い」といった現場の声にも触れ、「労働者が極めて危機な状況に置かれている」などとして組織委や都、JSCに対し、建設現場の共同査察を提案した。
五輪関連施設をめぐっては、17年に新国立競技場の建設工事に従事していた建設会社の男性社員(当時23)が自殺。「極度の長時間労働」による精神疾患が原因として労災認定された。報告書は、現在も「危険な過労の状況が続いている」とし、過労による事故や自殺を防ぐ処置がされていないとした。
BWIによると、五輪をめぐってはロンドンで1人、ロシア・ソチで70人、リオで12人、平昌で4人の労働者が死亡。東京に向けては2人が亡くなったとしている。BWIの担当者は「東京は『死亡事故ゼロの五輪』というレガシーを残せたはず。開催が近づくと事故が増える傾向があり、今からでも労働者の安全を守るべきだ」と語る。
JSCは取材に対し「事実関係を確認している。工事の受注者には適正な労務管理を行うよう重ねて要請している」とコメント。組織委は「文章の内容を確認しており、対応は今後検討する」、都は「受け取っていない」としている。(平山亜理)
BWIの報告書が指摘した問題点 ・選手村の建設現場で、つり上げられた資材の下で労働者が作業
・労働者から相談を受けた労働組合がJSCに通報しても不受理に
・都とJSCは、通報の受け付けが日本語のみ
・外国人技能実習生に単純作業のみを強いる
・新国立競技場の現場では月26日間、選手村では同28日間働く労働者も
・ヘルメットなどの安全器具を労働者が自分で購入する例も
・聞き取りをした労働者の半数は雇用契約がない |