転送いたします。
原子力規制委員会が原発の安全に責任を負わないとする決定的背景として注目されます。
また、世界に存在する440余基の原発に関する重大な警告です。
村田光平
全国のみなさま・・・テロ対策ファイルを送ります・・・広瀬隆
◆◆日本の原子力発電所でテロ対策は可能か?◆◆ 引用元:2019年5月27日 広瀬隆
2001年9月11日に、ニューヨーク の世界貿易センタービルに2機の航 空機が突っ込んで双子ビルがガラガ ラと崩壊し、国防総省(ペンタゴ ン)にも攻撃が加えられた事件は、 誰でもご記憶であろう。 この事件そのものは、実際には 「テロ」ではなく、アメリカ合衆国が中東~アジアで犯してきた犯罪行 為に対する因果応報と言うべき出来 事であったが、結果としては、誰もが 、 予期していなかった悲劇として、わが国では「同時多発テロ」と呼ばれてきた。 このような攻撃が、テロとして予期せず、原子力発電所に加えられないか? もし攻撃が加えられた場合に、原発が大事故を招かないように適切な対策がとられているかどうかが、今頃になって原子力規制委員会で議論されている。そしてすでに原発を稼働してしまっている九州電力・関西電力・四国電力の電力会社が、テロ対策の工事を完了 していないので、近く運転停止を余儀なくされるだろうとの、驚くべきマスコミ報道がおこなわれてきた。 「今頃になって」というのは、玄海原発・川内原発・大飯原発・高浜原発・伊方原発 がテロ対策の工事を完了せずにすでに運転中であるという意味だと思われるだろうが、それだけではない。これらの原発が再稼働に踏み切る前に、われわれが原子力規制庁に出向 いて、「テロ対策をとることは不可能である」という説明のプレゼンテーションをおこないながら、それをまったく無視して原発の運転を許可したのが、規制委員会と規制庁の無 責任で、無知な組織だ、という意味である。 よって、その説明を、改めて、ここにすべての日本人向けにお伝えする。 2001年のニューヨーク世界貿易センタービル崩壊事件は、航空機を利用した攻撃であっ た。そして、原子力発電所の最大の弱点は、航空機が突っこむ墜落事故である。なぜなら、 原子力発電所が大地震に襲われた場合を考えると、建屋の重い屋根が崩落して原子炉の 上に落下すれば、たちまち末期的大事故になるので、原子力発電所は建屋の屋根を軽くするようにつくってあるからである。軽い、とは、天井が弱くできている、という意味である。2011年の福島原発事故の水素爆発で、建屋が簡単に吹き飛んだのはそのためである。 したがって、別にテロ攻撃がなくとも、通常の航空機事故が原子力発電所の上空で起こ れば、原発はそれで一巻の終りとなる運命にある。このことを実証したのが、1988年6月 25日に、米軍の大型ヘリ(30 トン)が愛媛県 伊方原発のすぐ近く=800 mのところに墜 落した事故であった。この時、伊方原発は、 かろうじて助かったが、この墜落事故1年後 にも原発から30キロ程度しか離れていない野 村ダム近くに米軍ジェット機が墜落し、1994 年にも愛媛県と高知県の県境近くの早明浦ダ ム湖に米軍ジェット機が墜落し、さらに1999 年にも米軍ジェット機が高知県沖に墜落した。 日本中の原発は、このような米軍機の訓練 ルートの至近距離にある。航空機事故はすべ てが「想定外の事故」なので、場所を選ばず どこでも起こるものである。その訓練ルートを今、超危険な「オスプレイ」が飛行しているのだから、今日までその種の末期的事故が起こらなかったこと自体が不思議であった。 さて次に、一般の航空機事故ではなく、「悪意をもって原子力発電所を攻撃しようとす るテロ」に対して、有効な対策があるかどうかについて考えてみる。 2001年9・11事件のニューヨーク世界貿易センタービル崩壊事件後、アメリカ合衆国の テロ対策グループは、「一体お前たちは何をしていたのだ!!」と国民から激しい非難の嵐 にさらされた。ところが実は、部外者の私がこのような攻撃を予測していたのである。 というのは、そのちょうど一年前の2000年に、出版社の依頼でアメリカ取材旅行に出た 私は、成田空港からアメリカのノースウェスト航空で、普段なら絶対に乗らない〝ファースト・クラスの一番前の席〟を出版社がとってくれたので、後にも先にも生涯で初めてそこに坐って渡米した。すると、スチュワーデスがたびたびやってきては操縦室(コッ クピット)の扉を開いて操縦士と用件を話し、私の手の届くところにパイロットたちの姿 が見えた。それを見ていた私は、同乗していた編集者に、「これなら誰でも、いつでもハ イジャックできるじゃないか。アメリカの飛行機の警備はいい加減なもんだ」と警告して いた。──その私の予想通り、翌年に9・11事件が起こったのだ。 それ以来、航空機のコックピットには、 操縦士以外は入れないようになった。 ところが今度は、2015年3月に、その 「完璧な安全システム」の虚をついて、 頭のおかしくなった副操縦士が、機長を コックピットから締め出して、「150人 の乗客乗員もろとも、自分で航空機を 墜落させる」という通常では絶対に考 えられない悲惨な大事故を起こしたので ある。 この大惨事の事故があってから今度、航空会社は、常時コックピット内には2人以上がいなければならないという態勢をとり始 めた。 しかし、これでも、機長の操縦士と副操縦士が示し合わせて行動すれば、やはりこの種の〝精神状態がおかしくなった人間〟のテロ行為を防ぐことは不可能である。 では、原発でも同じことが起こらないと、誰が断言できるのか? 電力会社の社員がすべて正常であると、誰が言えるのか? 電力会社の社員も同じで、福島原発事故のあと、原発担当者の働く意欲と誇りが、急激 に失われているので、何があってもおかしくないのである。 まして外部からのテロには、まったく打つ手がない。 このような出来事を、原子力発 電所の専門家のエキスパートが実 際に起こると予測して、映画化したのが『チャイナ・シンドローム』で あった。 そして映画公開から12日後に、 実際のスリーマイル島原発事故が 起こった。 『チャイナ・シンドローム』の映画が、なぜ、これだけの大事故を予言できたか? それは、福島原発事故の35年前、下記の1976年のニューヨーク・ タイムズの報道にあ るように、実際に原発を設計・製造したアメリカのGE(ゼネラル・エレクトリック)社 の優秀な原発技術者3人が、危険性を訴えて退社し、「すべて原発で起こり得ること、お よび歴史的な事実」を組み合わせて、この映画のシナリオを書いたからである。 『チャイナ・シンドロー ム』では、原発の事故対 策がどれほどいい加減で あるかを描いた、という 点が最重要の訴えであっ た。 そしてこの3人のうち1人を、実は日本人も、福 、 島原発事故のあと、アメリカのCNNテレビで見た のである。35年前のニューヨーク・ タイムズの記 事の一番右に赤線で囲んだ人、デイル・ブライデン ボー氏が、この白髪になった人であった。 彼は「日本のみなさん、福島原発事故を起こした のは、われわれアメリカ人の誤った設計のためです。 申し訳ありません」と、目に涙を浮かべて言った。
勿論、彼は福島原発事故の責任者ではない。謝罪すべき人間に代って、彼が誠意をもって謝罪したのである。 では『チャイナ・シンドロー ム』では、テロの危険性をど のように描いていたか? 映画のラストシーンで、「原 子炉の危険性を告発する現場の 運転員」に扮したジャック・レ モンが、かたわらにいる警備員 の腰からサッと拳銃を抜き取って、コントロール・ルームで、 みなに拳銃を突きつける。 このシーンだ。 ドイツの航空機ジャーマン・ ウィングスの副操縦士のように頭のおかしな人間ではなく、最も正常な運転員が、拳銃を 握って、「原子炉の運転を止めようと」コントロール・ルームを自分の好きなように支配 しようとしたシーンであった。 このラストシーンが描いた情景は、テロリストの立場で考えれば「テロ対策など、ある はずがない!!」というシナリオであった。つまりわれわれが毎日見ている人間の狂気や、 ミステイクによって、いかなる原発事故も起こり得るので、原発の大事故を防ぐ方法は、 すべての原子力発電所を閉鎖するほかないのである。 このことは、日本の原子炉設計者たち全員が知っている事実なのである 。 そして今月(2019年5月10日)に韓国で、「免許のない人が制御棒を操作した」 というト ンデモナイ規則違反が起こって、最悪の原発の暴走事故直前の緊急事態が起こったのだ。 人間世界は、パンドラの箱から飛び出したあらゆる悪魔で満たされている。 このような理由から、これまで原子力規制委員会と規制庁は、原発の審査の対象からテ ロ対策を実質的に外してきたのである。 一体、原子力規制委員会と規制庁が、テロ対策の何を審査したのか? あきらめて、何もしてこなかったのだ。 世界中の原発は、このままではすまないであろう。 このまま運転を続ければ、「未必の故意」の刑事犯罪で、原子力規制委員会と規制庁の 全員を裁判所に召喚しなければならないことになる。 |