6月5日に発出した安部総理メッセージを平成29年9月26日付のものと合わせてお届けいたします。
求められる下記を含む抜本的政策転換を提言しております。
1.5月10日、韓国・霊光原発がメルトダウン寸前に立ち至った重大事故は、民事、軍事を問わない核廃絶という日本の歴史的使命を早急に実現が求められる現実の課題とした。
2.打破されつつある「放射能安全神話」による原発再稼働の促進は不道徳・無責任であり、早急に稼働中の原発の運転停止が求められる。
3.未だにプラスチックの生産禁止の動きが見られないのは、廃棄物の処理が不可能な放射能の生産禁止が現実化していないことと軌を一にするものであり、平成29年9月14日から17日まで、バーゼルで開催された「核時代の人権、未来の世代及び犯罪」をテーマとする国際会議の最終宣言(バーゼル宣言)で放射能の生産が禁止されていることが注目される。
無力感にとらわれている市民社会は不道徳の永続を許さない歴史の法則=天地の摂理=天地の公道に期待を寄せております。
村田光平
(元駐スイス大使)
安倍晋三内閣総理大臣宛 メッセージ 引用元:平成29年9月26日
安倍晋三内閣総理大臣殿 平成29年9月26日
村田光平 (元駐スイス大使)
拝啓
未曾有の国難突破のための粉骨砕身のご尽力に心から声援をお送り申し上げます。 北朝鮮問題で究極的に日本が貢献できることは、国際紛争の解決には、日本本来の和の母性文化の思考形態が不可欠であることを説き、父性文化の「圧力」のみならず「対話」重視の姿勢を関係方面に堅持させるために尽力することであると思われます。
世界各地で、地震、洪水等の天災が甚大な被害をもたらしておりますが、これまで度重ねてご報告した福島第一における原発建屋及び排気筒の崩落の可能性が深刻に懸念されます。この際、東京五輪を返上し、これへの対応を含め福島事故処理に全力を尽くすよう改めてお願い申し上げる次第です。
9月21日発刊の「月刊日本」にこの趣旨の私のインタービュー記事が掲載されました。(ホームページに掲載) 東京五輪の今後は、9月13日付の英紙「The Guardian」が報じたリオ五輪及び東京五輪をめぐるブラジル及びフランスの検察当局の捜査の新たな動きなどを踏まえて判断する必要があり、避けて通れない重大な政治問題になりつつあると思われます。
9月14日から17日まで、核戦争防止国際医師会議(IPPNW)や核軍縮スイス弁護士協会等の主催によりバーゼルで開催された「核時代の人権、未来の世代及び犯罪」をテーマとする国際会議の最終宣言に関して、所感をお届け致します。(最終宣言はホームページに掲載)
本宣言は核廃絶、脱原発を志向する市民社会にとり歴史的第一歩と見なしうるものです。このような評価を可能にするのは本宣言の次の画期的提案です。
(イ)核兵器の使用及びその他の健康と環境に無差別の被害をもたらす核活動は国際刑事裁判所のローマ規定が定める人類に対する犯罪に含めるべきである。また、ローマ規定を修正しECOCIDE(環境破壊)を犯罪とすることを求める (ロ)1958年にIAEA及びWHOとの間で結ばれた、原子力の民事使用の健康に及ぼす影響に関する自由な情報の開示を制限することに関する協定は破棄されねばならない。
本宣言は2014年3月11日付共同声明(ホームページに掲載)に盛られたIAEA改革の訴えに新たな根拠を与えるものです。同声明にはMoritz Leuenberger元スイス連邦大統領及び細川護煕元総理の賛同が得られております。
同会議には出席できませんでしたが、国連倫理サミットの開催により地球倫理の確立を求める長年に亘る私の活動にも会議では言及がなされ、これを踏まえ有力な関係者より熱い協力の申し出をいただきました。(I am more than ever encouraged to fight for the goal of ”applying ethics on a planetary level” and if ever needed You surely can count on our support.)
このような倫理・道徳への意識の高まりは不道徳の永続を許さない歴史の法則(天地の摂理)を想起させます。 日本のメディアも東京五輪を新たに見直し出しつつあることが確実に看取されるようになりました。
原子力の全方位の破壊力(地球環境、国家、組織、個人)は益々立証され、認識されております。市民社会は全ての独裁は終焉せしめられるという歴史の法則(天地の摂理)で慰められ、これに支えられております。 本宣言は「世界の命運は電力会社により左右される」との福島事故が立証した警告に対する決定的な対応といえます。
今後バーゼル宣言についてはスイスが主導的役割を果たしつつ各国政府への働きかけを行うことになっております。
貴総理のご指導とご尽力を心からお願い申し上げます。
敬具 |
安倍晋三内閣総理大臣殿 2019.06.05. 引用元:2019年6月5日 メッセージ
安倍晋三内閣総理大臣殿 2019年6月5日
村田光平 (元駐スイス大使)
拝啓 ご健勝のことと拝察いたします。
鳩山友紀夫元総理は6月1日のツイッターで原発事故と癌の関連性を否定する福島県の中間報告を批判されました。 「福島県の子どもたちは他県の子どもたちと比較して、圧倒的に甲状腺がんの発生確率が高い。明らかに原発事故による放射線被ばくによるものである。にもかかわらず、線量が高いと癌が増えるとは限らないと、福島県は原発事故とがんの関連性を否定する中間報告をまとめたという。科学者の忖度極まれり」(@hatoyamayukio • 1 juin ) 国民にとり最も理解しやすい論議はこの事例のように背景の不純な動機に焦点を当てるものです。フクシマ事故後の再稼働が不道徳・無責任で罪深いものであることは本来多言を要しない筈です。経済重視、生命軽視は明白です。 プラスチックのゴミ問題が世界的に深刻化しておりますが、当初から予見された結末です。未だにその生産禁止の動きが見られないのは、廃棄物の処理が不可能な放射能の生産禁止が現実化していないことと軌を一にするものです。 不道徳の永続を許さない歴史の法則は天地の摂理と言い換えられますが、これは明治新政府の基本方針である五箇条の御誓文の「天地の公道」」に通じるものであることに気が付き意を強くしております。
5月10日、韓国・霊光原発がメルトダウン寸前に立ち至った重大事故は、脱原発が日本のみならず世界の440基余の原発に関わるべきものであることを想起させるものでした。民事、軍事を問わない核廃絶という日本の歴史的使命はより現実の課題として想起されました。
貴総理の格段のご指導とご尽力をお願い申し上げます。
敬具 |