1.松くい虫被害樹の伐採始まる
松くい虫による被害は急速に拡大中。ここでも巨木の立ち枯れが目立つようになってきた。森林局としても、被害を受けた松を見つけて伐採を始めている。まず森を見回り、要伐採の松には目印にビニールテープを巻いておく。雪が降るころに伐採を始めるのだが、今年は遅れて最近伐採が始まった。
散策路や道路に近い巨木は、民間の造園業者に伐採を依頼するようだ。「空師=そらし」というのだろうか、職人が木に登って枝を切り落とし、さらに幹を上から順に切り落としてゆくという、危険で技術のいる作業を行う。
それ以外の木は、森林局の職員が行うのだと思う。先日の夕方、森に入ると、数本の木にカラフルなロープがかけられ、ヘルメット姿の作業員が、それぞれ同時に、するすると登っていくところだった。
伐採した松は、等間隔に切断されて積まれ、透明なシートで覆われる。その中には薬剤が充填されて、木の中のカミキリムシや線虫を駆除するのだそうだ。ちなみに、松くい虫の正体は外来種のマツノマダラカミキリという昆虫で、マツノザイセンチュウという線虫を運び、その線虫が木の導管を塞いで水の吸上げを阻害して松を枯らしてしまうのだそうだ。松枯れの原因は、酸性雨や大気汚染などもあるが、最も急激な被害が松くい虫によるものだという。
この森でも、立ち枯れる松が目立ち始めたのはつい最近だ。それがあっというまに広がってしまった。伐採されたあとは日当たりがよく、繁茂する下草の種類も変わるだろう。「万里の松原」と呼ばれるこのあたりは雑木林に変わりつつあるので、松の苗を植林するのではなく、他の樹種が自然に伸びるのを待つのではないだろうか。
2.ゴロスケホウホウ
枯れた松の伐採作業に活躍する小型キャタピラーによって、下草や灌木をなぎ倒されている。夕方、乱暴に造成された新道のようなそれをたどっていたら、「ホウホウ」という声。続けて「ゴロスケホウホウ」と。まちがいない、フクロウの声だ。
実は先日の早朝、樹上からくぐもった奇妙な声が聞こえたと思ったら、カラスがカララカララと騒ぎだし、カラスに追われて大きな鳥が飛び立った。大きな茶色い翼だ。「頭が大きくて丸かった」と連れ合いが言う。
去年も2度ほど「ホウホウ」とか「ゴロスケ」という断片的な声を聞いているので、きっとフクロウがいるはずだと思っていたのだ。
昼間はあまり動かないはずのフクロウを見つけてやるぞと、こちらは「鵜の目鷹の目」になって森の中をキョロキョロしているのだが。
3.ハシボソが漁夫の利?
散策路の先にカラスがいて、うつむいて何かをつついている。顔をあげると、いつものハシボソくんではなく、ハシブトくんだった。ここはいつもハシボソのカップルの活動エリアで、クルミの実を拾うと隣の介護施設の駐車場で、落として割って食べたりしているのだ。
近づくとハシブトくんは飛び去ってしまったが、透明なカップのような容器が落ちている。近くに外れた黒いキャップもある。コンビニのジュースかなにかか?
いや中身がこぼれだしている。黄色と黒の固形物? ギャ! スズメバチの死骸がたくさん。
近くに芋煮会ができる炊事場があり、そのあたりの木に下げられたハチトラップだった。約1年間吊り下げられたトラップをくすねてきたのだ。これはもう濡れ手に粟、しめしめと思っていたら、人間がやってきたのでチッと舌打ちして逃げていったのだ。
帰り道、同じ場所を通ると、あれ?ハチが減っているそ。近くにいつものハシボソのカップルがいた。横目をこちらを見ているが、その目がにやりと笑みを浮かべた。
こちらも見返す。「よかったじゃないか」と祝福をこめて。
ハシボソガラスのカップル
ちなみにカラスは繁殖期だけカップルになるのではなく、未成年で構成されるギャング団のなかにもカップルができているように思えます。子育ての時期なのに、いつも2羽で行動しているカラスをよく見かけます。