森に「歌う木」が出現しました。
これはクマノミズキという木のようです。散歩コースに1本だけあり、梅雨のころ白い花を咲かせます。昨日ここを通ると、この木が歌っていました。歌といってもワーンというようなうなり音、それが天から降ってくる、いや地面から、とにかく耳を捉えて離れない音です。木が歌っているようにも聞こえます。
正体はもちろん花に集まってくるハチの羽音です。クマンバチがいると低い重奏音が加わるのですが、今回は小型のニホンミツバチだけのようです。オーケストラなら、バイオリンだけの合奏というところです。
この「歌う木」は、アカシアでも、この森に多いムラサキシキブでも見られるのですが、以前に比べてめったに現れなくなりました。
原因はもちろんハチの激減です。特にセイヨウミツバチはここ数年、この森で見ることはありません。
激減はハチだけでなく他の昆虫でも言えることで、一昨年、数カ所にカブトムシのトラップを仕掛けたところ、一夏に雌が1匹入っただけでした。
テントウムシも、ナミtrントウやカメノコテントウを時々見かけますが、年に数回だけ。日本中どこでも見られるはずのアリマキ(アブラムシ)類は皆無。ミノムシもほとんど皆無。
第一、この森の低木の代表たるムラサキシキブは、花は咲けども実ることがありません。紫色の実がたわわに実ったらさぞ美しいだろうとそうぞうするのですが、ほとんど実を結ばないのです。鳥がついばんでしまうわけではありません。
森はもともと松林で、松くい虫の被害が急速に進んでいます。しかし、薬剤を散布しているわけではなさそうです。では、なぜなのか?
先日届いた市の広報に、無人ヘリを使って田んぼに農薬をまくというJAからのお知らせがありました。「自由化」された米は、高く売るためにブランド化され、特Aをとるためにしのぎを削っています。いもち病やカメムシなどを防ぎ、競走に打ち勝たなければならないというわけです。この農薬は欧米では禁止されているというニコチノイド系の薬剤だsと思われます。ミツバチの集団失踪の原因といわれています。スズメやツバメの激減の原因も疑われています。もちろん人体への影響も指摘されています。
それを、人手を使ってピンポイントではなく空中散布をしているわけです。森の昆虫の激減には、これが関係しているのではないでしょうか。
かつて、「アエラ」が、松枯れ防除でリン系の薬剤を空中散布することが、その地域の自殺率が高いこととかんけいしているのではないかと報道したことがありました。リンが神経に作用し、性格異常や異常行動をおこす可能性を指摘していました。
昆虫に起きていることは、人間に影響が及ばないはずはないと思うのです。日本における「沈黙の春」、取り返しがつかなくなる前に考えるべきではないでしょうか。
次の写真は、やはり梅雨の時期に咲くオオバボダイジュです。この花もミツバチには人気があるとのことですが、まだハチはやって来ないようです。