ひまなので、テレビに突っ込んでみた
あまりの暑さに思考力ゼロ。頭も体もトレーニングする気にもならない。どうしよう? ところで、テレビドラマなどを製作するにあたっては、時代やら環境やらについて考証する人がいるのだろう。時代考証、科学考証、環境考証、生活考証? たとえば、春という設定でドラマが進んでいるはずなのにコオロギが鳴いていたりしたら、せっかくのドラマがぶち壊しになってしまう。 この点、最近のNHKの朝ドラは、かなり綿密な考証をしているようだ。しかし、今放送中の「夏空」では、時々いたずらをしかけているのかもしれない。場所は北海道、帯広近郊の開拓地。効果音はそれに合わせて、昼は野鳥のさえずり、夜は遠くで鳴くキタキツネの声などが聞こえてくる。ところがある晩、明らかにオオカミの遠吠えが聞こえてきたのだ。犬の遠吠えなどではない。断じてオオカミである。ふざけるな!と怒る人もいるだろうが、このドラマでは北海道は主人公の大切な「故郷」なので神話っぽく演出したのだろうか。 遠吠えといえば、昭和2~30年代は、都会の犬もよく遠吠えをしたものだ。パトカーや救急車のサイレンが聞こえると、犬が遠吠えをはじめ、それが狼煙のように次々に伝達されていった。当時の犬は戸外につながれていることが多かったが、互いに姿は見えなくても遠吠えでつながっていたのだろう。 日本の犬はいつのまにか遠吠えを忘れてしまったようだ。ドラマでも、犬が吠える効果音はあっても、遠吠えはないように思う。でも昭和30年代のドラマなら、犬の遠吠えや夜汽車(SL)の音などが入ると、本物らしくなるのに。 小学生のころ、田舎の祖父の家に遊びに行ったとき、夜、祖父が「今、キツネが鳴いたぞ」と言った。正しくは方言で「いま、キヅネ鳴いたどハ」と言ったのだが。祖父の家は阿武隈山中の開拓地にあったのだ。ぼくは耳をそばだててみたが、よくわからなかった。しかし、そんなふうに、遠くで聞こえる生き物の声などは、家族でよく話題にしたはずだ。しかしドラマでは効果音は後から付け加えるのだろう。登場人物は外で何が鳴こうが決して話題にしない。
言葉についても気になる。今朝の「夏空」では「見させてもらう」というセリフがあって、我が家では家族みんなで「ありえなーい」と突っ込んでしまった。「見させてもらう」は平成になってからの言い方で、ぼくは今でもなじめない、というか間違いだと信じているほどだ。あの時代なら絶対に「見せてもらう」だ。 そういえば、子どもが喜んで「やったー!」と言うのはどうだろう? いつか、時代劇で子役が「やったー!」と叫んでいて驚いた。ぼくの記憶では1970年代はじめくらいまでは「やったー!」は存在しなかったと思う。喜びの表現は「わーい」「ばんざい」などだ。ヤッターマンの登場が1977年だそうだ。ヤッターという言葉が新鮮だったからキャラクターの名になったのだとすれば、それ以前には「やったー!」はなかったか、ごく一部地域の方言だったのだろう。
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