文藝春秋 9月号に掲載された木村俊夫元東電社員の記事を別添いたします。
これに関連し、これまで報じられている 旧知の田中三彦氏の見解を紹介させていただきます。
福島第一原発事故の国会事故調査委員会の委員を務めた元原子炉設計技術者の田中三彦氏は、かねてより1号機の電源喪失は津波が到達する前だったとする独自の見解を発表しております。 同氏は、原発沖にある波高計のデータや作業員が撮影した写真を基に、1号機に津波が到達したのは2011年3月11日午後3時39分ごろと推定しております。
東電が公表したデータによると、非常用ディーゼル発電機は同37分に停止しているため、1号機の電源喪失は津波以外の原因だと主張しております。
また田中氏は自ら1号機での現場検証を行い、1号機原子炉建屋の水素爆発は非常用冷却装置(IC)のある4階で発生したと主張し、ICには原子炉内の水蒸気が流れ込み、4階の損壊が激しいことから、ICの配管が地震で損傷して水素が漏れた可能性を指摘しております。
取り急ぎご報告いたします。
村田光平
(元駐スイス大使)
ご報告した文藝春秋9月号の木村論文は既に内外で反響を呼んでんでおりますが、同論文で最も注目されるのは木村氏の下記の指摘と思われます。
<東電は津波によってメルトダウンが起きたとの主張を繰り返しております。
そして、その「津波」は想定外の規模で、原子力損害賠償の免責条件にあたるとしています。
しかし「津波が想定外の規模だったか」以前に津波ではなく「地震動」で燃料破損していた可能性が極めて高いのです。
しかも、私が分析したように、「自然循環」停止の原因が、ジェットポンプ計測配管のような「極小配管の破損」にあったとすれば、耐震対策は想像を絶するものとなります。
細い配管のすべてを解析して耐震対策を施す必要があり、膨大なコストがかかるからです。
おそらく費用面から見て、現実的には、原発はいっさい稼働できなくなるでしょう。>
上記指摘の重要性は明白で、新たな転機をもたらし得るものと思われます。