関東育ち限定ではないと思うのですが、カブトムシというとクヌギ林を連想します。クヌギの幹の傷から滲み出した樹液が発酵して、酢とアルコールのような匂いがただよっていると、そこは虫たちの酒場。昼はチョウやハナムグリが、夜はカブトムシやクワガタムシがやって来ます。でも気をつけないとスズメバチも来るので、刺激しないようにしなければ。
しかし、ここ酒田では、クヌギが通じません。「クヌギの木ってどげな木だもんだ?」となります。市内の某小学校の学校林にクヌギがあるのを発見しましたが、理科の教科書に出てくるのに、知らないのはよくないという判断かもしれません。
このクヌギの「酒場」は、実はボクトウガという蛾の幼虫が、わざわざ木の導管をかみ切って樹液を滲み出させて獲物を捕えるトラップなのだと知ってびっくりしました。酒場の女将は蛾の幼虫のくせに肉食系、常連客を食べてしまう山姥でもあるというのです。
そんなウンチクを語りたいのに、酒田ではクヌギが通じません。クヌギが育たない気候なのです。かわりにあるのがコナラ。子どもにはなぜか抵抗のある名前の木ですが、この木にたまに樹液の酒場があるのです。ぼくの散歩コースにもあって、ごくたまにゴマダラチョウやクワガタが来ています。でも、昆虫の激減はここでも起こっていて、酒場は開店休業状態が常態化しています。
先日、帰省?してきた息子が、孫のためにここにバナナとヨーグルトを餌にした昆虫トラップ仕掛けたのですが、収穫はゼロ。がっかりする孫のために木の根元を探っていたら、なんとオオゾウムシを見つけました。
ぼくたちが昆虫少年だったころも、そんなゾウムシがいることは知りませんでしたが、日本最大を誇るゾウムシで、しかもその醜さといったら、子どもたちの人気ナンバーワンモンスターになること請け合いです。
というわけで、ここまでの長い前置きで紹介したいのが、次のオオゾウムシのクローズアップ。どうです、なかなかなつらがまえだと思いませんか?ちなみに、マクロレンズではなく、ふつうの標準レンズで撮影。トリミングで拡大しただけです。