第29回朗読会ばぶの会 無事開催できました (報告)
第29回朗読会ばぶの会本日無事開催できました (報告)
例年のことですが9月の例会だけは『宮沢賢治作品のみ特集の朗読会』なのです。 そして今年のラインナップと朗読者の作品に対してのコメントを紹介します。
① 「狼森と笊森、盗森」 (20分) 横手ひろみ 朗読 ② 「土神とキツネ」 (41分) 岡部悦子 朗読 ③ 「ざしきぼっこ」 (10分) 上田みつ子 朗読 ④ 「気のいい火山弾」 (22分) 木村博子 朗読 ⑤ 「真空溶媒」 (13分) 楠麻美子 朗読 ⑦ 「よだかの星」 (23分) 曵田宏 朗読
●狼森と笊森、盗森 横手ひろみ 私にとって宮沢賢治作品は、何を伝えようとしているのか掴みにくく、 正直、苦手です。 それなのに、何か心惹かれ、朗読したい思いも強いのです。 今回は、荒れ地を開墾する農民と自然との交流を描いた 『狼森と笊森、盗森』を選びました。 今は廃校になった奥羽山脈山中の小学校に、 「カイコン」と呼ばれる子どもたちがいて、 なぜ彼らだけが一括りにされていたのか、いぶかしく思ったけれど、 すぐ転校してしまって六十年・・・彼らに思いを寄せながら読んでみます。 ●土神ときつね 岡部悦子 意図せず湧きあがる思い・・人に対し、物に対し・・。 やるせなさ、苦しさ、いとおしさ、切なさ・・どうにもならないのよ、 『誰だってむしゃくしゃしたときは何をするかわからないのだ』 ・・それを抑えるのが理性であり省みることであり、 なべてを見渡すことであり・・。 稚拙なまでに純粋な、登場人物それぞれのまっすぐな思いや言動を、 悲しいほど美しい と思わずにはいられない物語です。 ●ざしきぼっこ 上田みつ子 日本各地にいろいろな伝承があるざしき童子。賢治の目には、 実はざしき童子が見えていたのかな、と、考えるとわくわくしてきます。 あなたの隣の方も、本当はざしき童子かもしれませんよ。 そんな想像をしながら、是非お聴き下さいませ。 ●気のいい火山弾 木村博子 ある火山のすそ野。ベゴというあだ名の石は、あんまり気がいいので野原の みんなにからかわれます。でも、実は……! からかいの場面が続くので、あまり陰湿にならないよう工夫しました。 最近は、ベゴ石さんに、地球(宇宙)の心のようなものを感じています。 ●真空溶媒 楠麻美子 宮沢賢治が27歳の時自費出版した詩集「春と修羅」の中の一作品『真空溶媒』 初めて読んだ時、ルソーの絵みたいな異空間を散歩している不思議な印象を 受けました。 宮沢賢治初心者の私がその世界をどこまで理解出来るか? 挑戦ですね。 ●よだかの星 曵田宏 このお話は「不条理の話」と受け止められていることが多いですが、 私はその一面よりも「(人は)どのように生きて・死んでいったのかによって、 その死後、夜空の星となって輝き続けられる」のだということを 賢治さんが教えてくれていると理解しています。 鷹から改名を迫られたヨダカは 「私の名前は私が勝手につけたのではありません。神様からくださったのです」 と反論しつつも『では自分の本当の姿形・本当の声』はどんなものなのだろうかと 自分探しの旅に出たお話であるとも思っています。
さすが、宮沢賢治さんの人気は根強いものがありますね。 今回の朗読会は開催前の予約席のお申し出が早々と完売でした。 その為当日飛び込みのお客様を2~4名お断りいたしました。
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