昨日、木場で打合せがあり、その帰路19時ごろのことです。九段下で東西線から半蔵門線に乗り換え、運よく田園都市線直通急行中央林間行きが入ってきました。
　帰宅のラッシュの時間帯、もう既に八割がた込み合っています。でも表参道もしくは渋谷あたりで乗り換える人も多いことだろうから、あわよくば座れるかもしれないと車両の奥の方に入り込みカバンを網棚に上げ、読みかけの文庫を読み始めました。
乗車してから二つ目の永田町に着くとかなりの人が降りたのですが、前の座席の人たちは誰も降りません。それどころか目の前の女性を挟んで両脇の中年男性、三人とも熟睡しています。特に女性は爆睡状態、電車が揺れるたびに両脇の男性にもたれかかり、ふっと気が付いて立て直すのですが、すぐに逆側の男性の肩にもたれかかるありさま。男性の方も気が付いているのがどうか分かりませんが、気にかける様子もなく寝ています。
よく見るとその女性、年は二十代前半、細面で目が大きい、とは言ってもつぶっているから定かではありませんが、色白でなかなかの美人。こんな若い女性がここまで爆睡するとはよっぽど疲れているんだろうなと気の毒にもなりました。
　そうこうしているうちに渋谷に到着。女性の右側の男性が席を立ち降りていきましたが、残念なことに隣に立っていた若い男性に座られてしまい、私は相変わらず同じ位置に立ったまま。年寄り（私）に譲るべきだろと憤慨しているうち電車は動き出しました。その男性遠慮したのか浅く腰かけたため、座席の背もたれと背中の間にわずかな隙間があります。次の瞬間、電車が揺れ女性の顔がその隙間にすっぽり、それでも目を覚まさず鼻が男性の肩甲骨に押し潰され引っかかっている状態。男性も前こごみにすれば、女性は倒れてしまうし、どうしたものかと思案顔。
しばらくして電車の揺れで女性も気が付き体制を立て直したのですが、またすぐに爆睡。なんと美しい顔の筋の通った鼻の頭が圧迫のために赤鼻のトナカイになっているではありませんか。よっぽどのブラック企業でこき使われているのだろう、可哀そうにもなってきました。そうこうしているうちに下車駅鷺沼に到着。この先どうなるのだろうかと心配しながら電車を後にしました。
　念のために言っておきますが、私はこの女性をずっと見ていたわけではなく、本を読みながら電車が揺れる度にチラッチラッと見ていただけです。しかし本の内容は全く頭に残りませんでしたが。
因みに、読んでいた本は「失敗の本質［日本軍の組織的研究］」でした。