東京五輪の帰趨如何には内外から重大な関心が寄せられておりますが、この程、福島事故が放出した放射性物資に起因する
健康被害の可能性を全く無視してきた国際オリンピック委員会を批判する重要な動きが始まりました。
15日、Andi Nidecker 博士(IPPNWスイス支部幹部)より、IOCのThomas Bach会長宛の公開書簡(仏語)が寄せられました。
フランス、スイス、ドイツの有志、反原発活動家、研究者など35名と17団体の署名を集めて出されたものです。
https://blogs.mediapart.fr/les-invites-de-mediapart/blog/141119/jo-2020-au-japon-attention-zone-radioactive 他方、同日、同書簡のとりまとめを担当したKolin Kobayashi氏による和訳が寄せられました。
https://www.facebook.com/kolin.kobayashi/posts/645906709146799 同書簡の特に注目される内容は次のとおりです。
「聖火リレーは、Jヴィレッジという福島事故対応施設を出発点として、汚染地をくまなく走るという信じがたい計画です。ベースボール、ソフトボールの試合に予定されている福島市の「福島あずま球場」周辺の土壌汚染は、最大6176Bq/kgの汚染が検出されており、トライアスロンの水泳を行う東京湾の一部は、すでに汚物で異臭が放たれ、湾岸部には、放射能が高度に堆積しています。東京にもホットスポットは存在しています。
私たちは、東京オリンピックに参加する選手たちの健康を憂う以上に、この開催が、大半が100年、また数千年に及ぶ汚染区域である福島周辺に暮らさざるを得ない住民たちの不都合な現実を消し去ることを最も危惧しているのです。これらの住民の中で、とりわけ、妊娠している女性、あるいはその可能性のある女性たちや子供達がこの惨事によって打撃をうけ、放射線の高線量にさらされているのです。
私たちは、東京オリンピックに参加する選手たちの健康を憂う以上に、この開催が、大半が100年、また数千年に及ぶ汚染区域である福島周辺に暮らさざるを得ない住民たちの不都合な現実を消し去ることを最も危惧しているのです。
こうした重大な状況を告発せず、貴職たちが東京オリンピックの開催をすることは、全世界にたいして福島事故が大したことではなく、何事もなかったごとくに消し去ることに加担することになるのです。
私たちは、日本で受ける健康リスクに関し、貴職に、オリンピックゲームに関係する場所について、独立系の科学者たちによる放射線量の調査を実施させ、その結果から然るべき結論を導き出すよう要請するものです。」
上記の通りその内容には反論の余地は有りません。
スイスのローザンヌのIOC本部に対するデモも計画されているようです。
天災の激化に伴う福島の状況の悪化の可能性に鑑みれば、その対応に全力投球するために五輪返上を決断することは今からでも遅くはないと信じます。
皆様のご理解とご支援をお願い申し上げます。
村田光平
(元駐スイス大使)