原発過酷事故発生の可能性
一日も早い再稼働原発の運転停止が緊急課題となったと確信いたします。 21日に寄せられた「伊方から原発をなくす会」の報告 によれば四国電力は昨年、高圧注入ポンプから普段より多いミストが発生。その原因がわからないまま運転継続。「特重」施設建設現場で荷物落下。そして定期点検中、燃料棒と一緒に制御棒を抜き取ってそのまま7時間放置するという前代未聞のトラブルを起こしています。 22日、四国電力では、またもや燃料棒が引き抜かれているのにも拘わらず、その逆の表示が出るなどのトラブルが発生したと報じられました。更に、愛媛県は25日、四国電力伊方原発(伊方町)で一時的に原発内の全交流電源が喪失したと発表しました。 原子力規制委員会のこの重大なトラブルに対する対応振りは報じられておりません。
衝撃を受けております。 「原発の安全には責任を持たない」という原子力規制委員会が原発の再稼働を容認するという不道徳性を認識することが求められます。 正に「日本の、そして世界の命運を左右する電力会社」です。 日本での過酷事故再発の可能性に関する懸念は一層深まりました。 原子力に関しては専門家の知見よりは市民の直観のほうが信頼できることが想起されます。 日本での原発過酷事故の再発の可能性はますます現実味を帯びたと断言せざるをえません。 無責任・不道徳な再稼働(現時点で4基が運転中)は一日も早く停止させるべきです。 そもそも原発の安全には責任を有さないと公言する組織が再稼働を許可するなど無責任・不道徳の極みであり、これを容認する国の責任は重大です。 「オオカミ少年」として無視され、白眼視されることは拙著「原子力と日本病」(2002年発行)の中で原発震災の発生を警告したことで経験済みですが、この経験を踏まえ、事故再発生の危険性を万難を排して各方面に訴えて行く所存です。 日本での原発事故再発の現実の可能性は世界の重大関心事です。 ご理解とご支援を心からお願い申し上げます。 村田光平 (元駐スイス大使)
問われる原発事故防止体制
四国電力の長井啓介社長は27日、伊方原発(愛媛県伊方町)で一時電源を喪失するなどトラブルが相次いでいることを受け、同県庁で中村時広知事に謝罪し、17日の広島高裁の伊方3号機運転差し止め仮処分決定に対する不服申し立てについて「今は申し立てができる状況ではない」旨伝えたと報じられております。 現在日本には原発の安全につき責任を負う体制が欠如していることが想起されます。 28日、心ある市民より下記メッセージが寄せられました。 <「原発の安全には責任を持たない。」という原子力規制委員会が原発の再稼働を容認するという不道徳・無責任性、これに全て尽きると思っています。スタートが違っているのですから時間の経過と共に益々事態が思わぬ方向に向かうことは予測されます。> 日本のエネルギー政策は2030年時点の日本の望ましい電源構成として、原子力をベースロード電源として20~22%を見込んでおりますが、その実現には30余基の原発増設が必要とされることに驚きます。このように実現不可能な前提に立脚している政策がまかり通るのは上記の原子力規制委員会の不道徳・無責任性と相通ずるものがあり、放置してはならないと確信いたします。 関西電力の「原発マネー」に関する内部調査の結果が近く公表される見込みですが、画期的な事態の進展です。 新たなエネルギー政策の策定が求められます。 経産省の責任と役割の重大さがますます認識されます。 このような状況下で、小泉進次郎環境大臣が1月21日の記者会見で「日本の政策をより良い脱炭素化に資する方向に変えていきたい」との意図表明を行ったことが報じられていること、また、各地で脱原発を訴える講演活動を展開しておられる小泉純一郎元総理が来年の福島事故10周年の記念行事として日本での世界脱原発会議の開催に意欲的であることが注目されます。 皆様のご理解とご支援をお願い申し上げます。 村田光平 (元駐スイス大使)
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