今朝の朝日新聞のオピニオン面「耕論」に春秋会相談役 南丘喜八郎さんのインタビュー記事が掲載されていましたので、紹介します。
改憲論含め「政治ごっこ」 南丘喜八郎さん(「月刊日本」主幹) 引用元:朝日新聞 2020.03.14.(耕論)宰相の「ことば」
「月刊日本」は日本の真の意味での独立と自主憲法制定を掲げ、私の知人友人らに1人で配って回るところからスタートしました。おかげさまで部数も伸びており、一般書店に並ぶまでになりました。
その私から見れば、安倍晋三首相はことの本質を何も分かっていません。憲法改正論を含め、やっているのは「政治ごっこ」です。
1945年の敗戦時、戦勝国・米国は、日本を二度と刃向かわせないため、日本の交戦権を奪い、戦力不保持としました。以来75年間、現行憲法と日米安保条約は一体のものであり、日本の安保・外交は米国が考える枠内でしか動けなくなりました。
そんな時代に生まれ育った安倍さんら日本の政治家は、国家・国民を犠牲にしなければならない事態に直面することなく、「政治」をやってこられたのです。
こうした日本の置かれた状況を理解し、この構造を何とか変えようとした政治家は、極めて少数ながらいました。たとえば、第1次吉田内閣(1946~47年)の蔵相で、国家予算の3分の1もあった米軍駐留費を削減しようとした石橋湛山。あともう1人挙げるなら、安倍さんの祖父の岸信介でしょう。
ただし岸は、米国に従属する枠組みから日本が抜け出せないと分かっていた。だから60年安保の際、もし日本で内乱・騒乱が発生すれば、その鎮圧に米軍出動を認める条項を削除するといった程度にとどめたのです。
私はこうしたことを、岸の巣鴨プリズンでの獄中日記から読み取り、文章に書いたことがあります。その際、元外務官僚の故岡崎久彦さんに、自分の本に引用させてほしいと言われました。岡崎さんは安倍さんの「安全保障の先生」です。なのに安倍さんは分かっていないのです。
たとえば今年1月、日米安保条約署名60周年式典での安倍さんの演説です。安倍さんはここで、今後60年、100年先まで日米同盟を強くしていく、と述べました。これから100年、米国の奴隷状態で構わないということです。これが、日本の保守政治家を自任する首相の演説です。
安倍さんがもし本気で改憲するというなら、「日米同盟100年先まで」などと言えるはずはない。現憲法と日米安保は表裏一体、セットだからです。コロナ危機にしても、米国におもねることなく日本国民の生命・財産のことを考えられるか疑問です。
主要メディアの責任も大きい。この構造的背景を前提として、そのうえで日米関係をどう改善すべきかの議論に終始しています。これでは、安倍さんの発想とそう大きくは変わりません。このことも、安倍政権が7年余りも続いている要因ではないですか。(聞き手・稲垣直人)
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みなみおかきはちろう 1945年生まれ。ラジオ日本報道部長をへて1997年に保守系論壇誌「月刊日本」創刊。右派・左派問わず様々な論者が寄稿。 |