ラジオのハプニング
「おとなは、だれも、はじめは子どもだった」とは、サンテグジュペリ『星の王子さま』の冒頭のことばですが、もう一つの真理を隠していると思います。それは「しかし、おとなは、だれも、子どもには戻れない」ということです。 僕は、昼間家にいるときは、ラジオをつけっぱなしにしているのですが、本当なら今は春休みであること、そして高校野球の選抜大会がなくなったことなどで、毎日午前中、NHK第1で「全国子ども電話相談」を放送しています。 この番組は大好きで、いまさら、子どもに説明することの難しさを感じながら、回答者の先生方に突っ込みを入れたりしています。 今日は「子どもが知りたいことと大人が知りたいことは、本質的に違うのだな」と、つくづく思いました。 ぼくは、連れ合いから「お金にならないことはよく知っているけど、役に立つことは知らない」と言われるのですが、大人がそんな質問をしたら、やはりそう言われるだろうというようなことを、子どもは知りたがりますね。もちろんそれは好奇心のなせるわざです。大人になるとは、好奇心をなくすことかもしれません。
この「電話相談」に、ごくたまに「この声は子どもじゃなくて、大人が声色を使っているのではないか」と思うような相談があります。今朝もそうでした。小学3年生と名のる女性が「ベランダでシランを育てているが、株のまわりに球根がたくさんできるのでどうすればよいか」と聞きました。子どもらしい声色を使った大人の女性の声のようです。でも、回答の先生は何事もないかのように淡々と答え始めました。ただし、普通に大人に対するような答え方です。そしてもはや科学相談ではなく園芸相談になっています。さらに、担当アナウンサーが「〇〇さんはシランを何年育てていますか」と尋ねました。これは危険なトラップだぞとハラハラして聴いていると、相手は「10年ぐらいです」と答えました。まんまとトラップにかかってしまったのです。小学生なら、10年前は2歳以下ですよね。 しかし、何事もなく相談は終わり、音楽が流れます。きっとこの間、スタジオでは大爆笑が起こったことでしょう。 いやいや、生放送ならではの波乱万丈を堪能してしまいました。
大人の質問は、やはり具体的で直接暮らしの役に立つことになりがちですね。 でも、子どもの質問は今日だけでも、 ・昆虫がサナギになると、体の中がドロドロになってしまうそうだが、脳もドロドロになるのなら、幼虫時代の記憶はなくなるのか? ・庭の梅の花には、めしべが2つあるものがあるが、なぜか。 ・昆虫が絶滅しかかっているそうだが、ぼくはそれを救いたい。それにはどんな仕事があるのか。 今どきの子どもも、まだまだ捨てたもんじゃないですね。フレーフレー子ども!
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