これはノスリです。
こわもてながら、巣だったばかりの若鳥。食べ物をねだってピ~ピ~と甲高い声で鳴いています。
酒田に移住してすぐ、散歩中に巣を見つけました。それは偶然だったのですが、毎日見上げていると、ある日ぴょこんとヒナが顔を出しました。それからは親が留守の時は、好奇心に駆られた、お化けのジャスパーのような白い産毛に包まれたヒナが私たちを見下ろしていました。
数年の間、春から夏にかけてノスリのヒナの成長を観察しました。1羽だけだったヒナの数はだんだん増え、4羽ぐらいになった後、見えにくい場所に巣が引っ越してしまい、それでもヒナの声が聞こえると「今年も順調に育っているな」とほっとしています。
松枯れの古木がたくさん伐採されて森の見通しがよくなったためか、今年は巣立ったヒナの姿も見かけることがあります。
まだ親に食べ物をもらっているくせに、すでに猛禽類の精悍な顔つきのヒナです。
こちらは正面からの顔です。
ワシタカ類としては、目が妙に大きい。そして正面からこちらを正視しています。ふつう鳥は2つの目では正視できませんね。目が顔の横にあるせいです。でもノスリは、フクロウ類ほどではなくても、目が前方にあるのがわかります。
巣は森の松の木にあるのですが、彼らの猟場は平原です。獲物はハタネズミやモグラなどの地上の小動物。その獲物は多くが夜行性ですから、狩りは夜間か薄明のころが多いのではないかと思われます。目が大きいのはそのためで、正面にあるのも、フクロウのように立体視のためではないかと思うのです。
ところで、フクロウですが、先日、珍しく親のフクロウを撮りました。その下は子どもです。
目の大きさを基準にして比べると、親フクロウは顔が大きく、まるでオランウータンのお父さんのようです。
子どものころ、絶壁頭と冷やかされる友だちがいましたが、フクロウの顔は逆絶壁、後頭部ではなく顔がそぎ落とされたように平らです。
大きな丸い目はくぼみの底にあるように見えます。なぜわざわざこんな形になったのでしょうか。
フクロウの耳の位置は左右で高さが違うといいます。夜の狩りでは、獲物の存在を目だけでなく耳でもとらえるためだそうです。立体視だけでなく、音でも方向や距離を知る必要があるのでしょう。パラボラアンテナかお盆のようにくぼんだ顔は、音を集める働きがあるのではないでしょうか。それで成長にともなって羽毛が伸び、大きなお盆のような顔になるのでは?