フクロウの成鳥、おそらくヒナたちの母親でしょうが、初めてピントの合った写真が撮れました。とはいえ、AFをオートにしているので、早朝でしかも木陰の被写体でISO6400、粒子が粗くなるのはしかたがありませんが。(フィルムの時代、ISO400でびっくり、800で絶句したものですが。)
この森でフクロウに出会ったのは今年が初めてなのですが、移住してきて以来のおなじみの猛禽類にノスリがいます。初めて観察したヒナは、毎日顔を合わせているうちに刷り込んでしまったのか、巣立ち後、わざわざ近くに飛んできたほどです。
私たちは「巣立ち」という言葉を比喩として使うのですが、本当の巣立ちは違うということを教えてくれたのはノスリでした。鳥の本当の巣立ちとは、単にヒナが巣を離れるというだけのことだったのです。ヒヨドリなどは飛べないうちに巣立つのだそうで、多くの鳥は巣立った後も、親が食べ物を与え続けます。そうして親子が共に暮らすうちに、ヒナは暮らし方を、ことによると彼らの合図ないし言葉を学んでいくようなのです。
ノスリとフクロウのヒナを比べると、ノスリはよく鳴くのに、フクロウはとても静かです。巣立った後も、ノスリのヒナはあちこちの木から「ピーイ、ピーイ」と鳴きます。おなかすいたよと言っているのかもしれません。
一方、フクロウのヒナの声はほとんど聞いたことがありません。もしかすると夜は鳴いているのかもしれないのですが、早朝や夕方、ちゃんと目を開いているけれど、鳴きません。鳴いたかもしれないのは一度だけ、カラスのギャングに見つかっていじめられ、追いつめられたときです。すでに私たちの視界からは見えなくなっていたのですが、カラスの声にまじって甲高い悲鳴が上がりました。「ピイ」とか「キイ」とか。きっとフクロウのヒナだと思い、まさか死んだんじゃなかろうなと思いながら探しに行くと、斜めになった木の幹に張りつくように身を隠していたのでした。うろたえたことを恥じるかのように。フクロウは「忍びの者」として生まれ、「忍びの者」として成長するのだなあって、劇画の読みすぎか?