先日、自宅の2階から見える鳥海山にも初冠雪がありました。そろそろタイヤ交換を考えねば。
ぼくはコットンの服が好きで、ジーンズやランチコート、横須賀はドブ板通りで買った米軍仕様のフィールドジャケットなどを愛用していたのに、こちら酒田では着用する機会がほとんどありません。特にジャケットが必要になる秋から初冬は、時雨の季節になるので、防寒と防水のしっかりしたものでなければ役に立たないためです。
愛用するワークシャツも、コットンのネルではなく、登山用の吸湿速乾、かつ保温性のものです。そして、袖口のボタンは、2つあるうちの内側のボタンをしっかりとめて風が入らないようにします。以前はとめないか、外側をとめてすきまから風が入るようにしていました。腕時計をしないようになったこともあるのでしょうが、やはり雪国酒田と、温暖な東京や横浜とは違います。
そういえば、ここではキンモクセイの香りがしないのです。私たちの日常的な動線が自宅と森に限られ、移動手段が車に限定されていることもあるのでしょう。ここでも、庭にキンモクセイを植えている家はあると思いたいのですが。
キンモクセイを知ったのは、就職してからでした。自宅から枝を切ってきて職員室に活けた人がいたのです。高校生のころ、秋になると電車内にただよっていた不思議な香りの正体がわかった瞬間でした。今の電車は窓が開かないから、そんな経験はできないのかもしれませんね。
クスノキもありません。こちらのアオスジアゲハの幼虫は、タブノキを食べます。合唱団のメンバーのだれひとり、クヌギの木を知らないのでびっくりしたことがあります。それじゃあ、どうやってカブトムシを探すんだろうと不思議に思ったものです。
子どものころ、田舎(福島県)を訪ねるたびに、言葉や生活習慣の違いにショックをうけるほど驚いたものですが、庭に植える植物から、子ども時代の経験まで、同時代に生きていてもこれほど違うものなのだなあと、当たり前のことにことさら驚くことが今でもあります。
いないと言えば、酒田ではドバト(土鳩)を見たことがありません。日比谷公園や神社、駅などにいて食べ物をたかったり、糞を落とすあのハトです。酒田で目や耳にする鳩はキジバトやアオバトなどの野生の鳩。土鳩がいない理由はよくわからないのですが、日本の都市としては珍しいことではないでしょうか。
そのかわり今でも伝書鳩を飼っている人がいて、群れで旋回している鳩たちを見ることはあります。ときたま、迷子になった伝書鳩を見かけます。土鳩と伝書鳩は同じ種なのだそうです。土鳩を飼い慣らしたのが伝書鳩、伝書鳩が野生化したのが土鳩。(ああ、だから土鳩がいないのかな、土鳩は伝書鳩についていって、鳩小屋で伝書鳩として暮らすのか。飼い主も、しょうがないなあと思うか、鳩が増えたぞと喜ぶのかも。)でも、伝書鳩のほうが見た目がきれいでしょうか、それにいくつも足輪をつけています。
写真は、先日偶然みかけた2羽の鳩。どちらも伝書鳩と思われます。迷子になって住み着いたのでしょうか。いや、ま、まずいぞ。これが雄と雌なら、酒田に土鳩が生まれてしまう?