リスも増えたけれど、それを撮影しようとするカメラマンも増えてしまった私たちのフィールド。酒田市内の「万里の松原」にある神社の周辺。市の公園課(?)が「リスの森」と名づけた一角です。日曜日の早朝にはなんと5~6人のカメラマンに出会いました。中には車で乗りつけ、車内でカメラを構えるという横着な人も。
陽気でおしゃべり好きな酒田人のこと、声をかけてくる人もいます。ここに来ればリスがいることは、友人から聞いたのだそうです。それでわざわざ超望遠レンズを買ったのに、なかなかリスに会えない。それでクルミを買ってきたり、クルミがないときはピーナツを買ってきて撒いているのだと。
こちらもつい「わきまえて」しまい、「そうですか」などと相槌を打ってしまったのですが、ここは「撒き餌なんかで餌づけするのはよくないですね」と断固として言うべきだったと後悔しています。
なにしろ、知床では餌をまく観光客やカメラマンのせいで、ヒグマが人を恐れなくなったり、餌を求めて人を襲うのではないかと心配していると言います。
観光客が餌づけしたため、日光のサルが人を襲うことは有名です。
奈良のシカも、近年狂暴性が増しています。修学旅行の引率で何度か行きましたが、年を追ってシカが図々しくも狂暴になっているのです。彼らはお辞儀をすれば鹿煎餅がもらえると学習しているのですが、じらされると突然襲うようになったのです。そして、恐怖のあまり逃げ惑う観光客を執拗に追いかけまわします。
愛らしいニホンリスが、まさか人を襲うことはないだろうと信じたいのですが、鎌倉や横浜のタイワンリスは、かわいいからと餌づけされたことから数を増やし、今では狂暴さから蛇蝎のごとく嫌われています。でももはや後の祭り。
野生の生き物に人が勝手に手を出してはいけません。見守るだけにとどめたいものです。今のところ、リスが増えたのは彼らの自助努力のたまものです。リスは、一年に一度しか実を結ばないクルミを地中などに貯食するのですが、その余りが発芽して育つのです。松林が管理されていれば、クルミの若木は雑草と共に刈られてしまいますが、ここは雑木林になることを容認されたような管理をされているためにクルミが増え、結果的にリスが増えたようです。
とはいえ、ニホンリスは松の木などの針葉樹を利用して暮らしています。その松には深刻な松枯れ病が蔓延していて、この森でも大量に伐採されています。撒き餌などでリスが自然に逆らって増えれば、そこからバランスを崩して大きな影響が出ないとも限りません。