4月23日の朝日新聞デジタルに「五輪開催のための4条件 『だめなら中止しかない』」渡航医学が専門の浜田篤郎・東京医大病院渡航者医療センター特任教授のインタビュー記事が載っていました。(添付資料)
開催のための条件を挙げ、それがクリアできないなら東京五輪は中止という明快な記事がやっと出ました。
その4条件とは、
1.海外から選手、スタッフ、報道関係者らが少なくとも数万人は入ってくる。この規模にどう対応するのか
2.海外からの数万人に加え、日本人の選手・スタッフに対して、誰が、どこで検査するのか。
3.日本で感染した海外選手らがそのまま帰国し、五輪をきっかけに日本から世界に感染を広げれば、大きな国際問題となる
4.医療資源は本来、まず国内の感染流行への対応、次にワクチン接種への対応に使い、それでも余力があれば五輪に使う。
という至極当然な条件です。
これまでの経緯、状況からして、どれも簡単にはクリアできそうもありません。
さすが朝日新聞、やっと明確に東京五輪中止を出してきたなと記事をコピーしファイル保存しました。
しかし、翌日24日(土)の朝日新聞朝刊を見てビックリ!
3面に同じ浜田特任教授の記事が掲載されていたのですが、ニュアンスが大分違うのです。
見出しから「医療資源の確保 開催に必須」(添付資料)
内容もトーンダウン「国民は納得しないだろう」「広げることのないようにすることも必要だ」とデジタル版の「私が挙げた四つをクリアできないなら、中止するしかないと思います」とはかなり違います。
ここからは私の推測ですが、取材した枝松記者は同じ原稿を上げたのですが、ディスクによって手が加えられたのでしょう。デジタル版と本誌との違いは何?
そういえば朝日新聞は東京2020のオフィシャルパートナー、もしや朝日新聞までが忖度したのかと疑いたくもなります。
各種世論調査からも分かるように多くの国民は、7月のオリンピック開催は無理と判断しているにもかかわらず、押し並べてマスメディアの論調は、この問題をあまり正面から取りあげていません。
80年前、日中戦争から太平洋戦争へと戦線を拡げ、挙句は勝敗が決したにもかかわらず戦争を長引かせ、国民に多大な犠牲を払わした時もマスメディアの加担があったことをよもや忘れたわけではあるまい。
五輪開催のための4条件 「だめなら中止しかない」 引用元:2021.04.23. 朝日新聞デジタル
新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるため、3回目の緊急事態宣言が東京都など4都府県に出る見通しになった。世界でも変異株が猛威を振るう中で、7月に東京五輪を開催することはできるのか。渡航医学が専門の浜田篤郎・東京医大病院渡航者医療センター特任教授に聞いた。
――単刀直入にうかがいます。このままで東京五輪は開催できるでしょうか。
開催するなら、クリアしなければならないことが四つあると思います。
まず、海外選手らが入国する際、新たな変異株が入ってくるのを防ぐことです。
日本はすでに外国人の入国制限をしている「鎖国状態」ですが、それでも日本人の帰国者から空港検疫で変異株が見つかっています。
海外から選手、スタッフ、報道関係者らが少なくとも数万人は入ってくる見込みです。この規模にどう対応するのか、政府はまだ示していません。検疫の混乱は必至です。
――二つ目は何ですか。
政府は選手を毎日検査することを検討しています。海外からの数万人に加え、日本人の選手・スタッフに対して、誰が、どこで検査するのか。医療関係者には大きな負荷となるでしょう。
実現するには、例えばすでにワクチンを受けた人は「検査は3日に1度」とするなど、メリハリをつける必要がありそうです。
――三つ目は?
大会後のことです。日本で感染した海外選手らがそのまま帰国し、五輪をきっかけに日本から世界に感染を広げれば、大きな国際問題となります。
出国時に検査し、陰性を確認する必要があります。
――最後の条件は何でしょう。
一番大事なことです。五輪を開催するには医療関係者といった人材、病院や検査機関といった施設など、相当な医療資源を投入することになります。
医療資源は本来、まず国内の感染流行への対応、次にワクチン接種への対応に使い、それでも余力があれば五輪に使う。
この優先順でなければ国民は納得しないでしょう。五輪最優先で医療資源を使うのは避けるべきです。
――すでに海外客を入れないことは決まりました。日本人客はどうでしょう。
日本人を含め、無観客でなければ開催は難しいのではないでしょうか。
入場する際に検査はできないからです。ワクチン接種か陰性の証明書を持参する決まりにすれば話は別ですが。
世界全体の感染状況は、今までになく悪いです。ワクチン接種も決して進んではいません。海外から選手団が来る以上、日本人だけで集まるよりもリスクが高いことは認識するべきです。
――海外選手と日本人客の間で、しっかり距離を確保してもだめですか。
野球やサッカーは競技場が広いので距離を取ることができても、五輪のすべての競技でそれができるでしょうか。
この1年、個々の競技では国際大会が開かれ、クラスターが発生した例もありました。ましてや五輪は総合大会。どうなるかは誰にも分かりません。
――他に課題はありますか。
海外選手らが事前キャンプなどをやるホストタウンが全国にありますが、実施はあきらめざるを得ないと思います。
例えば、海外の感染流行地から日本の感染が少ない地域に変異株が持ち込まれたら、どうしますか。
海外選手とホストタウンの地元の人はまったく交流できません。そうなれば、地元にとってはリスクしかありません。
――難題ばかりですが、開催は厳しいですか。
私が挙げた四つをクリアできないなら、中止するしかないと思います。 (聞き手・枝松佑樹) |
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