このリスは母親に違いない。脇腹に乳房が見える。去年の今ごろ会ったのと同じリスだろう。同じ場所だから。もう出産したのか、これからなのか? 重力など眼中にないような空中移動をするくせに、このおっかさんリスは、でっぷりと脂肪を蓄えている。実は時々会うのだが、おおざっぱな性格らしく、警戒心が乏しい。互いに近すぎる距離になるまで気がつかないで、大慌てする姿をよく見る。こちらも近すぎてピント合わせが間に合わないことが多い。
森はさえずりの季節。アカハラやクロツグミは先月から歌い始めたし、昨日はキビタキ、今日はコマドリかコルリが鳴いていた。(コマドリとコルリは鳴き声がよく似ていて、今日は風が強くて聞き分けられなかった。)
森の藪の中をツグミの仲間がつるんで動きまわっている。あれではツグミではなくてrツルミじゃないかと言いたくなるほどだ。北に帰る途中のツグミだったり、夏鳥のクロツグミだったり、「キョロン、キョロン」と高原の雰囲気を演出するアカハラやシロハラや、マミジロだったり。混成で徘徊しているのかもしれない。ツグミ属の鳥は歌自慢。だが、冬鳥のツグミの歌声を聞くことはできない。もっとも、グゼリと言われる鼻歌を小声で歌うことがあるのは、春になってもぐずぐずとどまっているので、がまんできないからだろう。
マミジロ♀
アカハラ
ところで最近のニュースでは、給料を電子マネーで支払うことができるようになる見通しらしい。しかしそれには「希望者のみ」という条件をつけるかどうか議論をしているのだそうだ。
昔、給与が現金手渡しから預金口座に振り込むことになったときのことを思い出す。
個人的には、給料は現金で手渡してもらいたかった。働いた報酬としての実感を得るには、現金を直接見たかったし、そうあるべきだと思ったから。
始めは希望者だけだという触れ込みだった。しかし、御用組合は強い抵抗をせず、むしろ事務職員が金融機関に現金を受け取りに行く危険性を強調したものだ。それでも、希望者のみということばを信じて抵抗を続けた。
しかし、「もう、あなた一人だけだからね。」と、事務職員から言われた時、抵抗をやめた。「あなた一人のわがままで私が迷惑している」と言われたように感じたからだ。
「希望者に限り」という条件には、こんな落とし穴があることを忘れてはならない。
今、年金は口座に振り込まれる。当然の権利とはいえ、誰にも頭を下げずにすむのだから、それはそれで気楽なものだけれど。
願わくは、年金も電子マネーでということは、絶対にやめてもらいたいものだ。