コロナ感染による日本人死者数は公式発表数のほぼ10倍とのワシントン大学のIHMEの発表が反響を呼んでおります。
傑出した数学者から寄せられたコメントを下記お届けいたします。
憂慮されるのは、日本においては五輪史上初めて主要新聞社が五輪のスポンサーになった(!)ことを背景に、発表されている死者数が実態であるかに関する議論が、オリンピックを目前にして見えないことです。東京五輪開催はこのようにコロナ感染による日本人死者数についても影響を与えているのです。
昨日フランスの知人から競輪の世界チャンピオンJulian Alaphilippe氏が熟慮の結果として、東京五輪不参加を発表した旨の連絡がありました。最近、すでに五輪参加が見込まれている内外のアスリートの方々からも五輪開催への疑念の表明が見られるに至っております。
内外の市民社会はコロナ危機の深刻化を背景に中止決定は時間の問題であるとの確信を強めております。
村田光平
(元駐スイス大使)
記数学者のコメントです:
ワシントン大学のIHMEの発表は,公表されている感染による死者数が医療機関で感染者と確認された患者の死者に限られているため,実際の死者数とは異なるという,冷厳な事実を改めて指摘することになっている.日本においては,公表死者数の約10倍も新型ウィルスによる死者がいるという,俄かには信じがたい数字が示されているため,この発表自体が信憑性がないものと受け止められたり,日本政府が反発するような反応が心配される.しかし,特に日本では,国として社会的な検査を進めていないので,患者数については公表数の10倍以上(あるいはもっと)いるとしても全く不思議ではなく,新型ウィルスの死亡率からこのような推測結果が出てくることも冷静に受け止めるべきであろう.
日本の健康保険制度をはじめとする医療体制の下で,医療従事者の現場の瀬戸際での努力もあって,ひょっとしたらこの推測値よりは死亡数を幾分押さえ込んでいる現実があるかもしれないとしても,そういう希望的観測がいつまでも通用するとは考えられない.政府の施策が感染状況を把握できないまま場当たり的対応になっている状況は,非常事態宣言事態が必ずしも有効に感染押さえ込みの効果に繋がっていないことからも露わになっているし,大阪での医療崩壊に見られるように,医療現場は疲弊し,全国的に医療資源は枯渇しつつある現状である.その上,今後政府が医療資源を新型ウィルス対策にさらに集中してより有効な施策を進めることができなければ,今回の推測値に近い死亡数の現れ方を現実のものとして目の当たりにせざるを得ない状況があるという,警告として今回の発表を冷静かつ深刻に受け止める必要があるであろう.
あくまでも医療の素人なりの考えということで,ご了解ください.オリンピックなんかやっている場合ではないということは敢えて書きませんでした.当然の帰結でしょう.
コロナ感染による日本人死者数