「5月の満月フラワームーンが地球に接近するスーパームーンで、しかも皆既月食で赤黒く見えるブラッドムーンになる」と聞きました。長い名前が気になる性分としては、このメアリーポピンズの呪文のようなスーパーフラワーブラッドムーンを撮らない手はありません。
幸い、満月の撮影は実験済み。普通、満月の撮影はシャッタースピードを遅くしなければならないので、手持ちは無理。でも、500ミリズームは、被写体が拡大されるからなのか、オートでは明るすぎて、絞りこまなければ写せません。そして絞る分だけ、シャッターは早くできるので、手持ちで難なく写せます。問題は、スタビライザーがついているとはいえ、手元のわずかな揺れも大きな揺れになるので、被写体を真ん中に置くことが意外にむずかしいのです。全身の力を抜き、息を吐きながらシャッターを押す、まるで武道です。
5月26日当日、酒田の空は午後からうっすら曇ってきました。でも、NHK山形局の新人お天気キャスターは、庄内はこれから晴れると太鼓判。期待して待ちました。
7時半ごろ、東の空には雲。でもその雲の一角が明るくなり、やがて月が現れました。下半分はまだ雲に隠れている……と思ったのですが、そうではなくすでに欠けているのでした。横から欠けると思い込んでいたので、不意を突かれました。
皆既状態になって、初めに設定したより絞りを少し開けました。それでうっすらと光るブラッドムーンが撮れます。
でも、もう少し赤く写ってもよさそうなものです。試しに、絞りを適正位置にしてみると、期待通りの明るさ、赤さになります。でも、その分シャッターが遅くなり、手振れの影響を受けてしまいます。ここは三脚の出番です。
三脚を引っ張り出し、思いズームレンズ付きのカメラをセットし、レリーズをつけ、月に向け……ああ、だめだ、間に合わない。すでに月は一部が明るくなっていました。そうでなくても、暗い路上で大きなレンズをつけたカメラを持ち出している男は不審者です。今回はあきらめることに。
これは絞り込まずオートで手持ちで撮ったものです。赤い月が撮れてはいますが、残念ながら拡大するとぶれてしまっているのがわかります。
次回の皆既月食は来年の11月だとのこと。時雨の季節ですから、日本海側で見ることはむずかしそうですが、次のチャンスには再チャレンジしてみようと思います。皆既月食は標準設定で三脚使用のこと。メモしておかねば。