森の一部はカラスの集団ねぐら、それにカップルになる成鳥になっていない若者のカラスはギャング集団を作って、その一部は昼間も森に残って活動しているし、巣立ったばかりのヒナたちも親を従えて森に来ています。おそらく今が、森のカラス人口が最も多い季節なのではないでしょうか。
日本のカラスは、主にハシブトガラスとハシボソガラスの2種ですが、ここにはどちらもいて、桜の実やミミズ、そして小鳥の卵やヒナ、リスの子どもも、雑食性の彼らが狙うはずです。ハシボソガラス限定で、クルミを割ることに夢中になるのもこのころですが、今年はあまり熱心ではないようです。クルミ割りも、実益を伴う遊びの一つで、飽きてしまうとむ見向きもしなくなります。
カラスの行動を見ていると、彼らの遊びや行動は、人間なら中学生の発達段階に該当しそうで、好奇心と冒険心に富む反面、いじめもやります。たとえばトビやノスリ、フクロウなどの猛禽類は、成鳥やヒナにかかわらずいじめの対象になり、見かければしつこく追い回します。それは彼らが猛禽類の獲物になるからでもあるのでしょうが、それ以上に残忍な好奇心が原動力になっているように思います。
しかし、いじめを除けばカラスの遊び行動は、なかなか面白い。いつか地面に横たわっているカラスがいて死んでいるのかと思ったら、仲間が近づいたらガバッと起き上がりました。明らかに相手をだまし、びっくりさせようとしたのです。
そして先日は、なんとサッカーです。
場所は高校のグラウンドです。いつもは放課後、サッカー部が練習をしています。その日は試験シーズンなのでしょう、グラウンドに人影はありません。しかし、無数のカラスが降りていました。声で判断するに、ボソもブトもいます。何をしているのかな、走ってるのがいるぞ。こんなとき上手に走れないカラスはじれったくなって翼を広げるんだけど、今は翼は使わず、足だけで走っている。たまりかねて両脚そろえてホッピングしてるのもいるけど。
翌日の朝も夕方も、カラスは群れています。こっそり抜け出して隣のテニスネットにくっつきあってとまっているカップルもいるけど。おいおい。
そして、私たちは見たのです。グラウンドの真ん中にボールがあります。テニスボールでしょうか?それを蹴っています。走っています。いやあ、ほんとうにサッカーやってるように見えます。なにしろ中学生レベルの脳(個人の感想です)です。ヒトが面白そうにやっているのをじっと観察していたのでしょうか。そして、おもしろそうな場面を再現しているのでは?
防球ネット越しですが、証拠写真です。