市民社会の諸提言
市民社会と政策決定者の橋渡しを心掛けている私には、各方面で活躍される方々からの傾聴に値するメッセージが多数寄せられて参ります。最近の事例をご報告いたします。 市民社会の深刻な危機感が伝わって来ております。
(その1) 誰のための、何のための五輪なのか、菅政権の暴走、小池都政の迷走が益々あらわになってきました。 想定外の感染者を出しつつオリンピックを強行しながら、国民・都民には自粛を強制する矛盾はもはや通用しません。 あり得ない「安心・安全」の下の愚行は「未必の故意」以外の何物でもない! (その2) 安倍晋三前首相の「アンダー・コントロール」と叫んだインチキ演説(2013年9月)から始まった2020年東京五輪関連の不祥事トラブルを拾ってみました。 ・新国立競技場の設計変更トラブル(故ザハ・ハディド氏、膨大な建築費) ・エンブレムの盗作問題(佐野研二郎氏辞任) ・招致活動買収疑惑(武田恒和日本オリンピック委員会会長辞任) ・野村萬斎氏らの開閉式演出チームの解散 ・東京湾の水質問題 ・会場問題(暑さ回避のためマラソン会場を札幌に変更) ・組織委員会会長森喜朗氏の女性蔑視発言(森氏辞任) ・森氏の後継者の不透明な推薦活動(被推薦者川淵三郎氏) ・ボランティアの大量辞退 ・新型コロナウイルス感染による1年延期(中止または2年延期の選択肢はあったはずが、安倍氏が1年延期に固執) ・聖火ランナー多数辞退 ・佐々木宏氏(開閉式演出総合統括)の人気タレントの容姿侮辱発言による辞任 ・小山田圭吾氏(開会式楽曲責任者)の過去の同級生いじめ問題発覚による辞任 ・小林賢太郎氏解任(ホロコーストを題材にしたセリフ問題の発覚)・・・・・。 枚挙にいとまがないですね。 さらに、全体予算のベラボーな膨張。当初は7~8千億のコンパクトなオリンピックをうたい文句だったはず。 それが想定外の1年延期に伴う経費増は別として、目下オリンピック関連インフラ整備を含めると3兆円はかかるとも伝えられています。しりぬぐいは全て国、東京都が請負い、そのツケは国民の税負担、もしくは、借金が残り、我々の後世に「どうかよろしく」となる。無責任極まれり!です。 かって見込のない戦争を始めた国の指導者の行いと酷似しています。 今後は「オリンピックそのものを考え直す」「IOCの体質を問い質す」良いチャンスにすべきでしょうし、上記五輪関連不祥事の発生原因と当事者の責任を徹底的に追求することが、不可欠だと思います。
上記の通り市民社会から寄せられるメッセージには「忖度」に縛られない貴重な提言を読み取れます。 多数のこれらのメッセージに立脚して市民社会を代弁する発信を今後とも行ってゆく所存です。 皆様の御理解をお願い申し上げます。
否定できない医療崩壊
尾身会長も医療ひっ迫を認めました。救急搬送困難も確認されております。 感染者数は東京で28日には過去最多の3177人、全国の感染は9500人をこえました。 株価の大幅下落も報じられております。 国家の危機です。この危機感無くして国民の協力は得られません 市民社会が求める五輪中断が急務です。他言を要しません。
五輪が人流を増やし感染拡大を招いていることは確実です。 五輪開催のもとで人流が減少しているなどとみなす専門家は失格です。責任が問われるべきです。 「安心・安全」は最早禁句です。 猛暑、台風、水害、地崩れ等々の現実を前にして、この時期を理想的として五輪を誘致したことに対する非難が海外で始まっております。 中断の決断を遅らせば遅らすほど被害は拡大して日本は窮地に立たされます。 今こそ人命最優先の独自の立場から早急に五輪中断の実現に全力を尽くすことを市民社会は政府に提言いたします。
皆様の御支援をお願い申し上げます。
村田光平 (元駐スイス大使)
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