全員に配布のタブレットでいじめ!
コロナによる休校やオンライン授業を余儀なくされたことをきっかけに、文科省が公立学校に一人1台のタブレット端末を配ることにしたところ、ある小学校でいじめが起こり、子どもが自死に追い込まれたといいます。 悲しいことですが、当然起きるべくして起きた事件です。タブレットでなくても、ケータイ、スマホによるいじめやトラブルはずっと前から現場で抱えていることですから、タブレット配布は安易に過ぎました。ほとんどの中学校でケータイの持ち込みを禁じてきたのも、このようなトラブルを案じてのことなのですが、それでも防災、防犯に必要だという親の考えもあり、あるいは親が子供をコントロールしきれなくなって買わされたスマホが持ち込まれ、結果として深刻なトラブルが起きていたのです。 魔法使いが居眠りをしている間に、弟子が魔法の帽子(杖?)を使っていたずらをして収拾がつかなくなるという昔話がありますが、子どもにとってケータイ、スマホ、そしてタブレットは生活道具というより「魔法の杖」に近いおもちゃなのだということを忘れてはなりません。彼らには細かい字で書かれた理解しにくい取り説など必要なく、何ができるのかとにかくさまざま試してみるのです。カメラ機能もメール機能も大人以上に様々な技を発見し、使いこなします。 メールやラインを使えば、授業中だっておしゃべりができるし、だれかの悪口だって誰にも聞かれない。彼らが他人に成りすまして悪口メールを送りつけるなど、どんな方法でそれができるのだろうかと思うほどです。 昔から中学校では「学校間抗争」というものがあります。いわゆる不良どもが、他校の不良とケンカをするのです。校内でも学年間、学級間の抗争もあります。学級内のトラブルも。以前ならちょっとした兆候があり、事前に察知して抑え込むこともありました。しかし彼らがラインで連絡を取り合うようになると、まったく兆候をつかむことができず、ケンカが起こってから地域の大人の通報で駆けつけるということになります。 政府には「デジタル庁」ができるとか。それなら、メーカーの都合ばかり優先するのではなく、子どもにデジタル機器を与えることの影響を、発達や健康も含めて多角的に検討してもらいたいものです。一方、ネグレクトや家庭の崩壊で親と全く連絡がとれないなどのケースで、不登校の本人とSNSを通じて対話ができるということもあります。一律に教員と子どものSNS禁止という文科省の方針も、あまりに現場の実態を知らなすぎると思うのです。
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