私たちの森は「万里の松原」と呼ばれる松林の一部で、雑木林に移行中の植生です。南国から渡ってくる夏鳥たちの中には、山地が新緑に包まれるまで、しばらくここに滞在するものがいるようです。留鳥という、渡りをしないとされる鳥も、ウグイスやヒヨドリのように国内を南北、または山地と人里との間を移動するのでしょう。森がにわかににぎやかになってきました。
心配は、松枯れ病が蔓延し、大量に伐採され、植生や日照が変わり、それが動物の生態に影響することです。半面、高いところにいる生き物が発見しやすくなったという利点もありますが。
この日は、アカハラがしきりに鳴いていました。高原やキャンプ場で早朝から「キョロン、キョロン」と二声で鳴くあの鳥です。しかし姿を見ることは今までありませんでした。この日、あまりに声が近いので、見上げると、すぐそこの頭上にいます。
これはなんだ?
真下すぎて紡錘状の物体にしか見えないので、立ち位置をずらしたのですが、逃げずにいてくれました。
アカハラ
それが朝です。夜来の嵐の名残りで小雨まじりの曇り空が、午後から回復。快晴になったので午後も散歩に。
今度は、茂みや梢で「ピキピキ」という警戒音。これはツグミ類の地鳴きだとわかってきたところです。アカハラでしょうか?それともシロハラ? カメラを向けるとクロツグミ。
これにはびっくりです。クロツグミはこの森で最高のシンガー、好きな鳥ですが、ほTんど姿を見せないのです。高い木の梢で鳴くのですが、隠れていて見えません。初めて撮影に成功しました。(もちろん雄です。)
クロツグミ
さて、この日、さらに面白いことがありました。前方から茶色い大きな鳥が、低空を飛んできてふわりと目の前にとまったのです。午後3時、昼間のことで、近くに巣があるノスリかと思ったら、なんとフクロウでした。まっすぐにこちらを見ています。
あわててカメラを向け何とか2枚撮ると、フクロウはまた飛び去りました。
3M先のフクロウ
たったそれだけのことですが、フクロウは用心ぶかく、こちらが気がつく前に飛び去ることがほとんどです。自分から近くに飛んでくるなどありえない話です。不注意なのかな?
10年前、ノスリが同じように飛んできて、近くに飛んできたことがあります。それは、散歩コースの近くの巣を見つけて、毎日巣から世界をのぞいているオバQのようなヒナと目を合わせていたので、結果的にそのヒナには刷り込みをしてしまったのかもしれないと思ったのです。巣立って、いよいよ森から離れて行くときに、挨拶しにきたのかもしれないなどと、都合の良い解釈をして自己満足に浸ったものですが、このフクロウもそれなのかもしれないと思ったのです。「知っている人が来たぞ」と?
やや小柄なので雄かもしれないのですが、じっと見つめるまなざしに見覚えがあるのは錯覚か?
巣立ったばかりの去年の写真と比べても、わかりませんでした。大人になると、雄のオランウータンのように大きく変わりますから。(フクロウの成鳥の顔は集音機のような、パラボラ型になりますから。
とにかく、森を散歩する楽しみがまた増えました。