5月19日に開催された小松昭夫小松電機産業社長,人間自然科学研究所理事長主宰の平和フォーラム<混迷の時代から未来を拓く「正義から道理へ 歩いた後に道ができる」緊急Zoomシンポジウム>でオンラインで行った講演の骨子をお届けいたします。
提唱する新しい文明の定義は「倫理と連帯に基づき環境と未来の世代の利益を尊重する文明」で、日本のみが誇れる1万4千年間続いた平和を生んだ縄文文明がその源泉です。
小松社長は国連が常任理事国に与えている拒否権などにより本来の期待された機能を果たし得ない現状を前にして「国民国連」の創設に関心を寄せておられます。
村田光平
(元駐スイス大使)
『力の父性文明』から『和の母性文明』へ 引用元:レジュメ 2012.09.09.
新しい文明を求めて ――『力の父性文明』から『和の母性文明』へ―― (レジュメ)
令和4年5月15日 村田光平
(初めに) ウクライナ危機は倫理の欠如と力の父性文化が重なれば破局が生じることを改めて立証いたしました。文明論の必要性が痛感されます。
提唱する新しい文明の定義は次の通りです。 ―― 倫理と連帯に基づき環境と未来の世代の利益を尊重する文明 1万4千年間続いた平和を生んだ縄文文明がその源泉
1 トインビーと母性文化
「歴史の流れは平等と統一に向かっている」(トインビー) 「人類は母なる大地を殺すであろうか。もし仮に母なる大地の子である人間が母を殺すならそれ以後生きることはないであろう。」
2 母性文化の着想
北京オリンピック開会式で2008名のダンサーが描いた「和」の文字。 「和」を重視する「母性文化」が、日本のみならずアジアにおいて広く共有されるもの。
3 父性文化と母性文化の特徴の比較(概要)
神に至上の価値を置く父性文化に対し、命の継承に至上の価値を置く母性文化 人類を破局に向かわせる父性文化(明治維新後導入された父性文化は軍国主義を生み敗戦という破局に至り、その後導入された経済至上主義と言う父性文化は福島原発事故と言う破局をもたらした) 更に両文化の特徴の比較は下記の通り。
自己中心―――――連帯 競争―――――――調和 対立⊷――――――協調 弱者切り捨て―――弱者への配慮 強欲―――――――小欲知足 左脳―――――――右脳 原子力――――――自然エネルギー
4. 哲学としての天の摂理:天地の摂理(新語)
リーマンショックの後、エコ化、電化へと向かわされた。 メキシコ湾の原油流出は石油に依存していることの代価に全世界を目覚めさせた。人類と地球の存続を確保するために手を差し伸べる「天地の摂理」が存在することを思い知らされる。これは不道徳の永続を許さないという歴史の法則の解釈に通ずる。
5. 国連倫理サミットの開催
人類が直面する危機は文明の危機である。その真因は世界的規模の倫理の欠如で、これは倫理観、責任感および正義感の三カン欠如に由来する。 国際的に評価されている国連倫理サミットを開催して地球倫理の確立、父性文明の母性文明への移行、そして急がれる核廃絶の実現という三位一体の目標の達成が急がれる。 拒否権問題で存立が問われだした国連の将来は国連倫理サミットの成否にかかっている。倫理の欠如対策の重要性に鑑みれば「国民国連」設立の動きをこれと関連づけるけることも検討に値しよう。 |