岸田総理宛メッセージを別添お届けいたします。
5月のG7サミットへの対応に資する私見をお伝えいたしました。
特に指摘したのは、ウクライナ危機が所在国に向けられた核ミサイルとしての原発の恐ろしさを立証したこと、全世界が関心を寄せる福島の放射性汚染水の海洋放出については、これにより日本が排他的経済水域を失う可能性を含むことが判明したこと、脱原発は核廃絶実現の前提条件であると新たに位置付け、両者を結合して核廃絶の新たな気運をもりあげるべきことなどです。
皆様の御理解と御支援をお願い申し上げます。
村田光平
元駐スイス大使
G7サミットを念頭に所感 引用元:岸田文雄内閣総理大臣宛メッセージ
岸田文雄内閣総理大臣殿 令和5年1月17日 村田光平 (元駐スイス大使)
拝啓 5月の広島におけるG7サミットを念頭に所感を申し述べさせていただきます。
欧州最大規模とされるザポリージャ原発で見られた原発砲撃を前にして世界は原発の存在を許している現状の恐ろしさを思い知らされました。原発は所在国に向けられた核ミサイルだからです。
カーボンニュートラルを理由に、また、ウクライナ危機が招来しているエネルギー不足を理由に原発依存を強める動きが強まりつつありますが、これは邪道です。原子力は本来不道徳・無責任だからです。 不道徳・無責任の永続を許さないのは歴史の法則です。
人類と地球を守るのは天地の摂理です。 老子は天網により全ての悪事は発覚し罰せられるとの警句を残しております。 天地の摂理、歴史の法則及び老子の天網は哲学の教えの三原則です。 このような哲学の教えに立脚した情勢判断が益々求められる現下の情勢です。 世界が直面する危機をもたらしているのは倫理の欠如であることが益々明白です。これに対処するために長年に亘り提唱されてきた国連倫理サミットの早期開催が強く望まれます。同サミットは地球倫理の確立、力と支配の父性文明から和と連帯の母性文明への転換及び核廃絶の実現という三位一体の目標を掲げております。
脱原発も核廃絶もなかなか実現しません。新たな対応が求められております。ロシアによる核使用が現実の脅威となった状況下で核廃絶を本気で進めることが喫緊の課題となりつつあります。 脱原発は核廃絶実現の前提条件であると新たに位置付け、核廃絶運動と脱原発運動を結合して新たな気運をもりあげることが現状打破に資すると確信致します。
福島の放射性汚染水の海洋放出が今春にも始まることが報ぜられ、世界の関心の高まりを招いております。しかしながら海洋放出については日本が排他的経済水域を失うことになりかねない可能性を含むことが判明いたしました。外務省の担当官から他国の同地域における権利の行使に対して妥当な考慮を払う条約上の義務を負うことが確認されたからです。
韓国、中国、ロシアなどはこの問題に厳しい反対の立場を打ち出していることに鑑みますと上記を見逃す筈はないと思われ、日本が排他的経済水域を失うことになりかねない可能性を含むことが判明したと思われます。
貴総理の御理解と御支援を心からお願い申し上げます。 敬具 |