散歩していたら、すぐ近くで「ピーツピ!」とシジュウカラの声。
シジュウカラは小さくて撮影しにくいうえに、顔つきがいまいちかわいいと思えなくて、あまり写真に撮らないのだが、撮ってくれと言わんばかりの距離に思わずシャッターを切ってしまった。(その点、ヤマガラは撮りたくなる被写体で、我ながらひいきしてるなあと思う。)
シジュウカラの鳴き声には意味があり、単語を組み合わせて言葉を話すともいう。「ピーツピ」は「気をつけて」の意味ではなかったかな。見ると、クロウメモドキの裸の枝にシジュウカラがいて、しきりにピーツピとやっていた。どうやら、我々が警戒されているらしい。ピーツピは伝言ゲームのように伝達されていく。
冬になると、シジュウカラの群れに他の鳥、ヤマガラやコゲラ、時にはメジロなどの小さな留鳥が一緒になって行動しているのを見かける。混群というらしい。共通語があるわけではないが、互いの鳴き声の意味は聞き分けているという。彼らの卵を食べてしまうリスは鳥たちの目の敵だが、そのリスも、彼らの危険の合図には反応する。
シジュウカラの群れが近くにいると、あちこちから彼らの鳴き声が聞こえてくる。ふつう鳥は「チー」と鳴けば別の鳥が「チー」と鳴き返すものだと思っていたが、シジュウカラは全く別の鳴きかたをするようで、なんだかしゃべっているみたいだなあと以前から思っていたのだが、やはりそうだったのだ。
以前、シジュウカラが激しく取っ組み合ってけんかする場面に2度ほど出くわした。鳥は恐竜の直系の子孫だというから、さもありなん。それにしてもあれほど激しいケンカは見たことがない。
ひょっとしたら、複雑な言語を操ることと、このケンカには関係があるのかもしれないとふと思った。NHK「ダーウィンが来た」によれば、彼らは食べものを独り占めしたくて「ヘビが来た」とうそをつくこともあるらしい。
人類も言葉を獲得することで複雑な感情を発達させたと思うのだが、言葉を持つシジュウカラも、怒りや憎しみの感情を持つようになったのかもしれない。騙されたことは忘れず、「あいつは嫌いだ」とか、「仕返ししてやる」などと思うのかも。