先日、十数年前まで住んでいた下北沢を訪れる機会がありました。
当時は地上を走っていた小田急線が地下に潜り、線路跡地にお洒落なブティックやレストランそして公園が配置。それに伴って街全体がリニュアルされ以前の煩雑としたイメージから、若者たちが欲する物が何でも揃う新しい感性の街に大変身していました。
おかげで在住当時よく通った古書店5軒中3軒、中古レコード店4軒中3軒がなくなっていました。しかも残っていた店も開店は12時からで訪問時はまだ開いていませんでした。
仕方なく変貌した街中を探索しながら時間をつぶして再訪問。古書店で音楽関係の本を2冊買い、中古レコード店「ディスクユニオン」へ、店内は以前と変わりないのですが、目指すクラシック・レコードが見当たりません。店員に聞くと片隅の一つの棚に数十枚ひっそりと置かれていました。枚数からして物色するのに1~2分、中で目についたのが、だいぶ前に話題になった超重量盤なるものが数枚。
折角来たのだからとその中からアシュケナージの演奏するショパン/スケルツオ集を購入。
家に帰り早速、針を下すとスケルツオ1番の♪ビー・バーン♪という出しに、エッ! その衝撃に「なんダ これ!」 凄まじい打撃音にビックリ!
CDではもちろん、レコードでも今まで体験したことのない音に衝撃を受けました。
その驚愕の共感を求めて、近くにいた家内に迫ると「すごい音ね! でもチリチリ音が?」と言われて、あっそうか、あまりの衝撃にそこまで気が廻らなかったというほどでした。
慌てって自作のレコードクリーナーで丹念に埃を拭き取り再挑戦。
音の立ち上がり、音の輪郭、低音のボリューム感と云い、今まで体験のしたことのない音、愛用のB&Wのスピーカーまでが「これこそ俺の低音なんだ!」と誇らしげに歌っている。経年劣化だと諦めていたステレオ・セットが生き返ったように鳴り響くのです。
そこで頭をかすめたのが、物色した陳列ボックスにあった同じ超重量盤のリヒター「バッハ オルガン集」です。パイプオルガンの低音がどこまで再生されているのかな?
そう思ったら、居ても立っても居られません。再度、下北沢へ
期待通り、「トッカータとフーガ ニ短調」天井のすす埃が落ちてこないかと心配になるほどの凄まじい低音。
たまたま以前から持っていた同じ録音のレコードと聴き比べてみましたが、まるで別の音源のよう、違いは明らかです。
先のアシュケナージも元の音源は1967年の録音。リヒターも1954年とかなり古い録音なのですが、盤質とカッティング技術により、こんなにまで音がリアルに再現できるのかと最新技術に驚嘆しました。
そういえば最近レコード・ブームとか。同じ店にあったビートルズの古いレコードに2万円・3万円の値段が付いていたのも、そういった処に起因するのかも知れません。
それにしても、SPレコード時代にLPレコードが登場した時以来の衝撃。
因みに、超重量盤の根拠はレコードの重量が通常版の1.5倍、値段は発売当初の定価は3,800円で、今回の購入価格は1,500円でした。
レコード クリーニング