


リスたちが冬に備えて、せっせとクルミを埋める行動を、ここのところあまり見かけなくなりました。猛暑の影響か、今年のクルミは実が多くしかも大きいので、リスも安心してしまったのか?
リスたちよ、油断は禁物だよ。ぼくたちは「そなえよつねに!」って習ったぞ!
ところで、
種類を問わず、日本の野生のクマが狂暴化しているようで心配です。
それでもニュースで「クマが駆除された」と表現すると、全国から抗議が殺到するらしく、いまだに「捕獲された」などと曖昧な言い方をするほど、報道には神経を使っているらしいと想像できて、安全な場所から匿名で無責任なことを言い散らす人間もまた恐ろしいと思うのですが。
小学5年生の夏、ヒグマに嚙まれました。幼い子熊だったのですが。少年合唱団の演奏旅行で道内を回り、休みの日に阿寒を観光したときでした。自由行動で、阿寒湖畔という名の街の土産物店が並ぶ大通りを歩いていると、子熊がロープでつながれていました。
あまりのかわいさと、子犬や子猫のように、子熊だって撫でられるはずだと思って近づきすぎたのです。子熊はなるほど、子犬のようにじゃれついてきました。そして軽くぼくの脛を嚙んだのです。甘噛みというやつですね。しかし、犬や猫と違うのは、離してくれないことでした。そして噛んでいるうちに興奮して、森に離そうとすると唸り声をたてました。観光客は遠巻きにするだけで、途方にくれていると、人混みをかき分けてアイヌのおじいさんが現れました。ウポポ(歌)やリムセ(踊り)を見せる家で、民族衣装を着て案内していたおじいさんでしたが、すぐにしゃがみこんで難なく離してくれました。
動物はいまでも大好きですが、動物に不用意に近づくことは危険だと肝に銘じたできごとでした。
熊に襲われたという動画のなかには、子どもっぽいクマがうしろから跳びついて、また走り去るようなものもあり、おそらくそれはじゃれついているのでしょうが、それでも襲われた人間は大けがをしたと言います。
今年の熊の被害は、去年から予想されたことではあります。去年は、ブナの実が例年にない豊作で、熊の出生率が上がるのではないか、そして今年はブナの裏年で、実がつかないから植えた親子が人里を表すだろうと。
それは的中したようです。狂暴化したと表現したのは、飼い犬を連れ去ったり、倒れた人を運び去ったりする例があるからです。食べ物を探しに人里に降りてきて、たまたま人に出くわしてびっくりして、まはた子どもを守ろうとして人を襲うというのではなく、始めから雁の獲物として家畜や人を狙う個体が出始めていることです。
数年前、秋田県北部で、タケノコ採りの人が何人も襲われたときにも、その兆候を感じたのですが、今年は、栗駒山周辺の熊が要注意です。秋田県の東成瀬村、湯沢市、岩手県の一関市、宮城県の栗原市、県が違うために報道が別々ですが、地図で確認すると、とても近いのです。同一の熊だというのではなく、このあたりに熊を狂暴化するなにかの要因が集中しているのではないかと思えます。
ブナやドングリ類が不作だというのは温暖化? 人里に出てくるのは過疎化や果樹の放置? 視点を変えれば、木材用の植林で、山の広葉樹の森が減っていることがそもそもの原因とも考えられます。その針葉樹さえ放置されていますが。
駆除された熊が、人を襲ったどうかDNA鑑定で調べるそうですが、同時に解剖をして飢餓の状態や、何をたべているのかなども調べてデータをとってみるべきかと思います。
いちばんよくないのは、このまま現地まかせにすることです。高齢化した地方では、立ち向かう気力さえ失せてしまっています。過疎化、無人化はさらに加速し、野生動物の領域が広がっていくことは目に見えています。