スカルボとはベルトランの詩に現われる『身代の太った地の精』であり、不気味な夜を象徴する『阿呆』であり『洙儒』である。
『夜な夜な、人足途絶えた町中をうろつく阿呆』は、『片方の目で月を見上げ、片方の目は――潰れている』奇怪な小悪魔なのだ。
――『彼奴が天井から舞いさがり、一本足できりきり廻り、妖女の紡錘竿から抜け落ちた紡錘のように、部屋じゅう転げまわるのを、いくたび私は見たことか！　そうして彼奴めは気絶したとは思いのほか、洙儒は、さながらゴチック式教会の鐘楼のように、月かげと私のあいだにぐんぐん延びた。尖り帽のさきに金の鈴をば揺りながら！　やがて彼奴のからだは蝋燭の蝋のよいに青く透きとおり、彼奴の顔は燃えのこりの蝋さながらに蒼きめた。
そして彼奴は、あっという間に消えて行った』
　　　　　　　　　　　　　　　ギーゼキング レコードジャケットより

　アルゲリッチ、カサドゥジュ、ギーゼキング、アシュケナージ、ロルジュの順で聴­き比べます。