三十数年前、府中の運転試験場で大型免許を取得したのも確か三回目の試験だった。今回がその三回目、ぜひとも合格したいが路上にまだ一度も出ていない。まして課題の「指定場所停車(電信柱を停留所に見立て後部ドア―中心から前後25Cm以内に合わせる、しかも左サイドミラーを見るだけで)」を一度も経験していない状況では一抹どころか、かなりの不安をもってのスタートです。
まず試験車に乗って愕然としたのは、前二回は2号車だったのに、今回は1号車で計器パネルのレイアウトがまるで違う。まして不安なクラッチの遊びもかなり違う。余分な神経を使わなくてはいけない点が、また一つ増えた。
課題の方向転換や鋭角で、スピードを抑えようとするのだが、クラッチが早めにつながるため抑えきれずハンドル操作が遅れ気味になる。前回まで切り返しを方向転換ではしなかったし、鋭角でも1回だったのに、それぞれ1回、2回と増えてしまった。方向転換の1回、鋭角の3回までは減点対象にはならないのだが、自分としては納得がいかない。まして最後の坂道発進までエンストをしてしまい、万事休す。
意気消沈してプラットホームまで戻ると、試験官「はい、路上試験に行きます」
えっ何で!
おかれている状況を考える余裕もなく、試験場の裏口から娑婆に出所。娑婆での運転なら四十数年慣れたものよ。スピードと安全確認だけ注意すれば何とかなるだろうと一転意気揚々。通用門を右に出て、歩道はあるが狭い通学路であるため30km/h制限、軽い下り坂をくだると第一関門の、信号のある鋭角の交差点を右折。
今度は上り坂、信号を過ぎたところで、課題の指定場所停車の一回目の指示。左サイドミラーを見ながらタイヤ灯を目安に慎重に停車。停車の宣言をしてすぐに発車、試験場正門前まで来たとき、突然
ガクン と急ブレーキ。
一瞬何が起きたかわからず、眼をシロクロ。
試験官「横断歩道だよ 周りをよく確認した」
確かに正門前とあって人が大勢いるが、試験車が止まったからといって、だれ一人渡る様子はない。
そのとき、頭を過ったのは、学科試験の「ポイント165 横断歩道などに近づいたとき、
横断する人がいるかいないか明らかでないときは、停止できるような速度で進む」
紙の上では理解していても、実際に運転しているとき、横断歩道の近辺に人がいるだけで徐行などしたことなど一度もなかった。もしそんなことをしたら追突される恐れさえある、心構えとしては大事なことだが。
試験が終わった後、もう一度路上の試験コースを車で廻って見ると、今日走ったところだけでも8ヶ所、その先にも6ヶ所も横断歩道があり、横断歩道の手前にある菱形のマークの意味が今さら理解できたしだいです。
という訳で、一瞬、娑婆(路上)には出ましたが、試験場の外側を一周し、本来だったら信号を左折して街中に出ていくところでしたが、右折してまた塀の中に逆戻りしてしまいました。
今回の中型二種チャレンジの目的は、自己流運転の見直しでしたから、そういう点では着々と実証体験し修正はしていますが、それにしても情けない。