泣き止まない子もしくは泣き続ける子
ここは保育園の中にある一時保育室です。 今年度も4月から数えて6か月目に入りました。大泣きする子が殆どいなくなりました。 年度当初は沢山の子どもさんが泣きました。よく泣く子ベスト3とか5というものがあるとしてその代表格と目されていた(?)子も、やがて月を追うごとに一人二人と泣くことが減り、夏以降から最近は朝の入室時に大泣きしてもほんの『ひと泣き』したら泣き止んだとか、せいぜい、『ふた泣き半くらい』で泣き止んだというようなケースが殆どです。
今日は雨降り、外に出られない日でした。 朝家を出るときに「ほいくえんいきたくない」といって泣き、でっかい声で泣きながら入室し、そのまま午前のあらかたの時間を泣き続けた子が久々にいました。 保育士としては泣き止めるように、抱っこしたり、背中をとんとんしてなだめてみたり、気が紛れたり気分転換しないかと窓の外の景色に「あ、公園にワンちゃんお散歩させている人がいるよ」とか、好きそうな遊びやおもちゃに誘ってみたり、その子の大好きなお友達のあそんでいる様子を教えてみたり、仲良しさんに『ねえ、○ちゃん、あそぼうよって誘ってあげてみて』と助力を求めたり、歌を歌ったり、いろいろ手を尽くしてみましたがうまくいきませんでした。他の子たちはその子の大な声に動揺することもなく部屋のあちこちで三々五々ばらけてそれぞれ自分の遊びをしています。 もし今この子の泣き声がなかったら全く静かで穏やかで争い事一つないひと時なのです。おんぶひもでおんぶしたらもしかして落ち着くかもとおんぶしてみました。 けれどもどうしてもこうしてもおさまりません。 水分補給の麦茶を他の子たち全員が飲んだ後、改めてその子に麦茶を勧めました。 泣き止んで麦茶をごくごくとかなりな量を飲みました。 内心、やった、これでうまくいったと糠喜びもつかの間、飲み終えた途端、見事な泣き声復活です。ちょっとほっておいて様子を見ましょうという頃でした。 その子の周りの子が示した行動に感動させられました。 2~3歳児同士のコミュニケーションですから流暢な会話などまだまだ見られません。 けれども表情やしぐさで思いを伝えています。 心配そうに顔を覗き込む子、ティッシュペーパーを一枚とってきて涙を拭かないかと差し出す子、自分の使っていたおもちゃを渡そうとする子、などなど。 子どもたちも子どもたちなりに泣いているその子のことが気になっていたのですね。 それと、泣き声を聴きたくないという思いも働いたのではないかと思われました。
そろそろ部屋のおもちゃを片付けて給食の準備に取り掛かる頃には泣き止んでいました。 そのまま給食は泣かずに食べました。 食事が済んで昼寝の布団も敷き終えて部屋を暗くし、気の早い子はさっさと自分の布団の上に横になっている子がちらほらという頃合いになって、なぜかあそびスイッチが入っちゃったようで箱積み木の上から飛び降りあそびなど始めました。 「今頃あそびださないでください。朝からあそんでください」と小さな声でなだめて眠りに誘い、いつもより時間はかかりましたが入眠しました。 一時保育室の子どもたちの午睡は、短い子の場合一時間弱で眠りが足りて目覚めてきます。 ですから3時のおやつまでの間90分ぐらい遊べます。 この時のあそび場面の中で「○ちゃん、ないてないね」と指摘する子が2~4人位いました。いわれた側は、はぁ、なんのこと?という感じできょとんとしていました。
昔から『子どもは泣くのが商売だから…』という言われ方もあります。さあ、次回の登園日にはこの子と、この子の周りの子たちの間でどんな展開が待っていることでしょうか?
|