二週間ぶりの二俣川
私用などが挟まり、5回目の技能試験は二週間空いてしまいました。
朝の通勤電車の乗客もすっかり秋の装い、試験場も学生が少なくなり、夏のあの活気はありません。
いまいち気合は入りませんが、逆に落ち着いてできるかなと自らを励ましながら、試験開始を待ちました。
そこへ入ってきたのが二回目の技能試験の時の試験官、苦虫を噛んだような渋い顔でぼそぼそ呟く、苦手なタイプ。まして受験者は私ひとり、ますます気分が沈んでいきます。
でも、そうは言ってられません。今回は何としても合格を目指さなくては。
幸い試験車は慣れた2号車、快調に鋭角、坂道発進、縦列駐車と終わり、自分で気付いたミスはなし、最後は得意の後方感覚。路側停車してからバックで9m後ろのリヤーウィンドから直視しながら車体を目標のポールへ50Cm以内に接近させる課題。視力検査の時に深視力を褒められ、その後練習、試験と一度も失敗したことのない得意種目。
その時気付いたのが、オブザーバー(複数の受験者がいるときは、その受験者がオブザーバーとして同乗しますが、いない場合は他種目の受験者が乗ります)が、普通は後ろから2,3列目の座席に座るのに、なんと最後部座席の真ん中にでんと座っているではないか。死角ができる、気が利かないやつだなぁと思いつつも、ここはピタッと付けてやろうと考えた瞬間、ポールが微かに揺れるのが見えました。
一巻の終わり ポールや障害物への接触は、その時点で試験中止。 考えが甘かったのか、思うようにはいかないものです。事前には構内試験のことはさておき、路上試験をどう攻略するかばかりを想定していました。
もう一度、出直しです。
それから、また二週間。
6回目ともなると、以前ほどの熱意も薄らぎ、緊張感もなくなります。
案の定、ケアレスミスや確認のし忘れなどが相次ぎ、路上試験の途中で引き返す破目になってしまいましたが、大きな収穫もありました。
今回、初めて同乗する試験官は一見神経質そうで、わずかなミスも見逃してくれそうもない感じ、運転席に座ったとたん、陰鬱な気分。路上試験までは出たものの、途中で減点オーバー、ご帰還という結果でした。
しかし、何時もだと降車する前に試験官から「ワンポイント・アドバイス」と称して問題点や減点した個所を一つ二つ指摘されて終わるのですが、今回の試験官は二種免許の趣旨から採点ポイントにいたるまで、こと細かく15分位かけて説明してくれました。
ここ数年、バスの事故が増えているが、その多いのは車内事故。つまりバスの利用はお年寄りが多く、車内での転倒による事故である。
杖をついた老人が、ポールにつかまって立っていることを想像してみてください。
お年寄りの多くは、自分の動作が遅いことを自覚しているので、迷惑をかけてはいけないと、バスが停留所に停止する前に席を立ち、出口に急ごうとする。その状況で急停止、急ハンドルを切ったら、どういう結果になるかは、火を見るよりあきらか。
水がイッパイ入ったコップを、こぼさずに運ぶような運転を心掛けてください。
なるほど、そのために停止発進するたびに6点確認(
首を廻して室内直視、左後方直視、左サイドミラー、バックミラー、右サイドミラー、右後方直視)を要求されていたんだ。それを形式的だと思うから、なおざりになり苦痛になる。その必要性を理解すれば自然の流れの中で、できるようになるわけだ。
これまでの運転は、できるだけ早くがモットーで、前方の信号が変わりそうだとスピードを上げる、割り込みされそうだと前の車との車間距離を狭める、横断歩道の近くに人がいてもお構いなし、カーブでは加速して抜け出すなどレーシング・ドライバー並みでした。
しかし二種免許では、まったく次元の違う運転を要求されているのです。
試験官いわく「我々は、鋭角や方向転換などの課題を見ているのではなく、課題ができるのはあたりまえで、課題である程度の負荷を加えて、その間の運転状況・対応処置を採点している」とのこと。
まさしく、目からウロコでした。
よし、次回こそやってやるぞ!